「基本情報技術者試験の勉強は、何から始めればいいんだろう?」「基本情報技術者試験のテスト項目や、それぞれの対策を知りたい!」と思うことはありませんか?
そこで今回は、
• 基本情報技術者試験の概要
• 基本情報技術者試験の午前問題と午後問題の勉強法の違い
• 本情報技術者試験の午前問題と午後問題の試験内容
• 基本情報技術者試験の午前問題と午後問題の対策法・勉強法
の流れで、基本情報技術者試験に備えるための準備についてまとめて解説します。
最後に「基本情報技術者試験で合格するための設問の解き方のコツ」もまとめているので、ぜひ最後までご一読ください。
なお基本情報技術者試験は、2023年4月より試験制度の大幅改訂が予定されています。 2023年度以降の受験を検討している方は、次の記事をご確認ください。
1. 基本情報技術者試験とは?
まずは、基本情報技術者試験の特徴について解説します。
1.1 IT分野の基本的知識・技能を問う国家資格
基本情報技術者試験は、IT系の基本的な知識・技能を問う国家資格です。
対象を「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」としています。
基本情報技術者試験は「スキルレベル2」に該当し、さらに上には「応用情報技術者試験」や「データベーススペシャリスト」などがあります。
◆ ITパスポート試験:スキルレベル1
「情報処理技術者試験」のうち最も簡単なエントリーレベルの資格。
◆ 基本情報技術者試験(FE):スキルレベル2
情報処理技術者試験のうちエントリーレベルとなる「ITパスポート試験」に次ぐ「レベル2」。
◆ 応用情報技術者試験(AP):スキルレベル3
基本情報技術者試験の上位資格。高度情報技術者試験は分野別に試験が分かれるため、総合的なIT技術に関する国家資格としては最上位。
◆ 高度情報処理技術者試験:スキルレベル4
ITストラテジスト試験、システムアーキテクト試験、プロジェクトマネージャ試験など合計10種類の試験。試験ごとに合格率が異なる。
つまり、基本情報技術者試験は、IT系の国家資格の入門編というわけです。
1.2 基本情報技術者試験の難易度・合格率
基本情報技術者試験の合格率は、以下のようになっていました。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | |
---|---|---|---|
2019年春期 | 54,686 | 12,155 | 22.2 |
2019年秋期 | 66,870 | 19,069 | 28.5 |
2020年秋期 | 52,993 | 25,499 | 48.1 |
2021年春期 | 32,549 | 13,544 | 41.6 |
参照:応募者・受験者・合格者の推移表|IPA
※2020年春期は新型コロナウイルス感染対策のため中止
例年は合格率20~30%程度でしたが、2020年以降は新型コロナウイルスの影響により受験者数が減少したことで、合格率が40%以上に上昇しています。
ただ、合格率40%でも難易度は簡単ではなく、実力を示すには現在もなお良い資格です。
1.3 試験会場・試験日程・申込方法・受験料
続いて、実際に基本情報技術者試験を受けるときに必要な情報をご紹介します。
1.3.1 試験会場/試験日程
試験会場は、試験配信などを行うプロメトリックのサイトで検索・予約できます。
出典:基本情報技術者試験 試験会場検索・予約状況|プロメトリック
なお、令和2年の試験からは、パソコンを利用したCBT方式が採用されています。それに応じて、あまり広くない試験会場に当たることもあるので注意しましょう。
2022年の基本情報技術者試験のスケジュールは以下の通りです。
• 春期:2022年4月17日(日)
• 秋期:2022年10月頃
春期の受験申込受付は2月1日(火)で終了しているため、これから受験する方は秋期に申し込みましょう。
申し込みの目安は、以下をご確認ください。
▶ 参考:スケジュール、手数料など|IPA
1.3.2 申し込み方法/受験料
基本情報技術試験の申し込みは、以下のサイトにある「オンラインによる試験予約」からできます。
クリックすると、画面下部に以下のような手順が書かれています。
出典:基本情報技術者試験情報:オンライン受付|プロメトリック
■ ポイント
予約には、「プロメトリックID」の取得が必要です。
初めて受験する場合は、以下をクリックしてプロメトリックIDを事前に取得しましょう。
出典:基本情報技術者試験情報:オンライン受付|プロメトリック
受験料は7,500円(税込)です。支払い方法は以下を参考にしてください。
▶ 教育訓練給付金対象のITスクールやプログラミングスクールを解説!-お仕事応援ドットコム
2. 基本情報技術者試験の午前問題と午後問題の勉強法の違い
基本情報技術者試験の午前問題と午後問題の出題傾向と勉強法の違いをご紹介します。
2.1 午前問題と午後問題の出題傾向の違い
午前問題は四肢択一で、およそ70%が過去問から出題されています。基本的に時間が余るためゆとりを持って回答できるでしょう。
午後問題は過去問からの出題が少なく、1つ難しい問題があります。時間が足りなくなることが多いです。
2.2 午前問題と午後問題の勉強法の違い
午前問題の勉強では、とにかく過去問を数多く解きましょう。問題が短いので、スキマ時間を利用して学習する習慣をつけるのがおすすめです。
午後問題の勉強では同じ問題を繰り返し解き、慣れることに徹してください。
特に多くの受験者が苦手とするアルゴリズム(問6)とプログラム(問7~11)は、じっくり取り組んで苦手意識を克服することが重要です。自分流の解説ノートを作るなど、理解を深めておきましょう。
午後問題は時間が足りなくなることが多いため、制限時間を設けて勉強することも大切です。
3.【基本情報技術者試験・午前問題】試験内容・問題例
午前の試験内容は、試験の内容や問題数の割合がある程度決まっています。
• テクノロジ系:5割
• マネジメント系:1割
• ストラテジ系:2割
それぞれ概要や、問題の例を見ていきましょう。
3.1【基本情報技術者試験・午前問題】テクノロジ系
テクノロジ系では、
• アルゴリズムとプログラミング
• コンピュータ構成要素
• システム構成要素
• ソフトウェアやハードウェア
• データベース
• ネットワーク
• セキュリティ
など、技術に関する知識について出題されます。
たとえば、次のような問題です。
オブジェクト指向プログラミングにおける,多相性を実現するためのオーバーライドの説明はどれか。
※詳しい問題内容はこちらをご確認ください。
こちらの問題では、オーバーライドに関する知識を問う内容となっています。カプセル化やオーバーロードなど、勘違いしやすい点が回答の候補に挙がっています。
午前の試験は、基本的に上記のような選択式の問題が多いです。技術に関して、幅広い知識が範囲となっています。
3.2【基本情報技術者試験・午前問題】マネジメント系
マネジメント系では、
• プロジェクトマネジメント
• サービスマネジメント
• システム監査
など、マネジメントに関する知識について出題されます。
たとえば、次のような問題です。
システム開発の進捗管理やソフトウェアの品質管理などで用いられるPDCAサイクルの"P","D","C","A"は,それぞれ英単語の頭文字をとったものである。3番目の文字"C"が表す単語はどれか。
※詳しい問題内容はこちらをご確認ください。
こちらの問題では、PDCAのCの意味について問われています。PDCAはそれぞれ、
P:目標を実現する計画を立てる
D:立てた計画を、実際に実行する
C:実行した結果、上手くいったかチェックする
A:チェック内容に応じて、計画に修正を加える
といった意味があるため、この点を考慮して考えると良いかもしれません。
3.3【基本情報技術者試験・午前問題】ストラテジ系
ストラテジ系では、
• システム戦略
• システム企画
• 経営戦略マネジメント
• 技術戦略マネジメント
• ビジネスインダストリ
• 企業活動
• 法務
など、上流工程であるシステム戦略や、経営戦略などを考える問題が出題されます。
たとえば、次のような問題です。
2種類のIT機器a,bの購入を検討している。それぞれの耐用年数を考慮して投資の回収期間を設定し,この投資で得られる利益の全額を投資額の回収に充てることにした。a,bそれぞれにおいて,設定した回収期間で投資額を回収するために最低限必要となる年間利益に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,年間利益は毎年均等に上げられ,利率は考慮しないものとする。
※詳しい問題内容はこちらをご確認ください。
こちらの問題では、IT機器の投資額を回収できる年間利益に関して問われています。IT機器にはaとbがあり、それぞれ以下のように投資額と回収期間が定められています。
a | b | |
投資額(万円) | 90 | 300 |
回収期間 | 3 | 5 |
投資額と回収期間から「1年当たり出すべき利益の金額」を算出すると、考えやすくなるかもしれません。
このように、費用対効果などを含めた戦略面についての問題が多く出題されます。
4.【基本情報技術者試験・午後問題】試験内容・問題例
午後の試験内容は、午前と比べて難易度がとても高いです。理由は、
• 毎回試験の内容が大きく変わる
• 出題範囲が広く、深い知識が求められる
からです。
ここでは、2つの出題範囲・問題例をご紹介します。
4.1【基本情報技術者試験・午後問題】データ構造及びアルゴリズム
データ構造及びアルゴリズムでは、
• 配列
• 探索
• 数値計算
• 文字列処理
• 図形処理
など、数学的なものの見方や考え方が問われます。
たとえば、
• 穴埋め問題
• プログラムの途中経過・最終結果を答える問題
などです。
プログラムの途中経過・最終結果を答える問題は、実際のプログラムを読んで答えるような設問です。普段からプログラムを組んだり、デバッグの経験がないと解くことが難しいでしょう。
4.2【基本情報技術者試験・午後問題】ソフトウェア開発
ソフトウェア開発は、
• Java
• 表計算
• Python
などの、プログラミング言語に関して出題されます。
たとえば表計算では、過去に次のような問題がありました。
次の表計算のワークシート及びマクロの説明を読んで,設問1~3に答えよ。
〔表計算の説明〕
Z社は,店舗の窓口で自社商品に関する諸手続のサービスを行っている。来店した顧客が受付機のボタンを押すと,1から始まる連番の受付番号を記した受付票が発行される。窓口では,受付番号の順に担当者がPCを用いて業務処理用サーバ(以下,業務サーバという)の機能を利用しながらサービスを行う。最近,顧客へのアンケートで"待ち時間が長い"との意見が増えたので,表計算ソフトを用いて待ち時間の状況などを分析することにした。
なお,本問において,関数"条件付個数"は,セル範囲に含まれる空白セルでないセルのうち検索条件の記述で指定された条件を満たすセルの個数を返す。
〔ワークシート・来店状況〕
業務サーバには,顧客に対して行ったサービスに関するデータが受付番号ごとに記録される。この記録から分析に必要なデータを得るために,ある1日のデータを業務サーバから抽出,加工して,ワークシート"来店状況"に入力した。ワークシート"来店状況"の例を,図1に示す。
※詳しい問題内容はこちらをご確認ください。
問題は手順に関する穴埋め問題と、マクロに関する穴埋め問題が用意されていました。手作業で手順を整理し、それをマクロで組む知識がないと解けないような問題です。
このように、実際に自分でプログラムを組んだ経験や知識が前提となっていることも多いのが特徴です。
5. 基本情報技術者試験・午前問題の対策法・おすすめ勉強法
基本情報技術者試験の午前対策は、「過去問を解いて点数を取れるようになること」が重要です。なぜなら午前の問題は、過去問と似たような問題が出て来ることも多いからです。
また時間にも余裕がある方がほとんどなので、事前に準備して落ち着いて解けば点を取りやすいでしょう。
5.1 参考書
午前対策のおすすめ書籍は、次の2つ。
1. 令和04年 イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生の基本情報技術者教室(情報処理技術者試験)
2. キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者 令和04年
どちらもイラストが多く、内容が理解しやすい点が特徴です。実際に本屋さんなどで手に取って、読みやすさを比較してみると良いかもしれません。
5.2 Webサイト
午前対策のおすすめのWebサイトは、次の2つ。
1. 基本情報技術者試験ドットコム
2. 基本情報技術者試験 受験ナビ
特に基本情報技術者試験ドットコムは、
• 解説付きの過去問
• 本番に似た型式の「過去問道場」
などがあり、勉強だけでなく実力を試すときにもうってつけです。
5.3 その他
書籍やWebサイト以外にも、アプリで午前対策の勉強をすることも可能です。
たとえば、次のようなアプリも出ています。
電車での移動時間などを有効活用しやすいため、こちらも試してみてはいかがでしょうか。
6. 基本情報技術者試験・午後問題の対策法・おすすめ勉強法
午後の対策は、
• Java
• 表計算
• Python
などの、出題範囲を選ぶところから始まります。
「そもそも得意な分野がない」といった場合は、過去問や解説を見ながら「解けそうなもの」をまずは見極めましょう。
6.1 参考書
基本情報技術者試験の午後対策におすすめな書籍は、次の2つ。
1. 令和04年 イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生の基本情報技術者教室(情報処理技術者試験)
2. キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者 令和04年
午後の問題は、午前よりも難易度が格段に上がります。そのため、「内容の理解」がしやすいイラスト付きの書籍がおすすめです。
6.2 Webサイト
午前対策のおすすめのWebサイトは、次の2つ。
1. 基本情報技術者試験ドットコム
2. 基本情報技術者試験 受験ナビ
午後問題は、難易度が高いものも出題されます。そのためある程度基礎を身につけたら、どんどん過去問を解いていくことをおすすめします。
ある程度過去問を解いていくと、「毎回問題は変わるものの、問題を読むのは慣れてきた……」と思うタイミングが来る方もいらっしゃるかと思います。
特に基本情報技術者試験ドットコムは、過去問も豊富です。ぜひ、利用してみてはいかがでしょうか。
6.3 その他
これまでプログラミングの経験があまりない場合は、「表計算」を選ぶ方も多いでしょう。しかし、設問の中に「マクロ」を組む問題もあり、作り方がわからず悩んでしまうことも。
このような場合は、簡単なマクロを作ってみるのがおすすめです。たとえば、次のような表を自動で作るツールなどはどうでしょうか。
「手作業で作れるものを、マクロで作ってみる」と挑戦してみると、マクロの理解が深まるのでおすすめです。
ちなみにこちらに実際に問題を入れて、画面を作ったアプリを作ることも可能です。
▼ 問題の例
▼ 画面で動くアプリの例
難易度はもちろんあがりますが、ここまでできれば仕事でも活用できるレベルとなります。
あくまでもこちらは例ですが、自分で実際に何か作ってみるとプログラミングに対する知識が深まるのでおすすめです!
7. 基本情報技術者試験で合格するための設問の解き方のコツ
午前の問題は、過去問と似たような内容が多く出てきます。そのため、苦手な部分を集中的に勉強し、点数を稼いでいくことがおすすめです。
また実際に試験を受けるときに分からない問題が出てきたら、一旦飛ばして進むと時間がなくて困ることもないでしょう。実際に多くの受験者が、「時間が余った」と言っています。
余った時間で飛ばした設問に戻り、消去法などで答えを絞って回答していくと良いかもしれません。
午後試験は、過去問をとにかく解いて備えておくことが重要です。特に、
• 疑似言語の読み方をマスターしておくこと
• 選択問題は絞って勉強しておくこと
の2点を気をつけつつ、過去問を解いて準備しましょう。
過去問は、これまでご紹介した「基本情報技術者試験ドットコム」にたくさんあります。
8. まとめ
今回は、基本情報技術者試験の勉強法を解説しました。
午前問題、午後問題で大きく内容が変わるので、最後に解説した「基本情報技術者試験で合格するための設問の解き方のコツ」を参考に勉強を進めるのがおすすめです。
1. イラストで分かりやすい書籍を1冊購入し、基礎を学ぶ
2.「基本情報技術者試験ドットコム」で過去問を解く
3. 分からない点、苦手な点を書籍で再度読んで理解を深める
といった流れで学習していけば、苦手な分野が減って合格しやすくなるでしょう。
今回の記事を参考に、基本情報技術者試験を受ける準備をしてみて下さいね!
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