ランサーズ株式会社の調査によると、2021年時点で広義のフリーランス人口※は全労働人口の24%を占める1,670万人に達していることがわかりました。その経済規模についても昨年から約10兆円増加して28兆円と、急増しています。これはフリーランス人口とともに、過去最大の増加率となっています。
※広義のフリーランスとは…副業系すきまワーカー、複業系パラレルワーカー、自由業系フリーワーカー、自営業系独立オーナーを全て含めるもの
アメリカの大手クラウドソーシングサイトであるUpworkが行った調査によると、アメリカのフリーランス人口は5年間で約400万人増加しました。それに対して日本は5年間で約580万人と、アメリカ以上の増加率となっています。しかし労働人口との比率で考えると、未だアメリカよりフリーランスは少ない状況です。今後もアメリカ並みの水準まで、増加が続く可能性があります。
出典:
Upwork Study Finds 59 Million Americans Freelancing Amid...|businesswire
New study finds freelance economy grew to 55 million Americans this...|upwork
とはいえフリーランスには、「雇用の安定性」がありません。案件は常に継続するとは限らないことから、フリーランサーが増えすぎて思うように受注できなくなるという事態は、ありえるのでしょうか。
この記事の監修者
株式会社志木サテライトオフィス・ビジネスセンター
代表取締役社長 柴田 郁夫
早稲田大学院理工学研究科修士課程建設工学修了、一般社団法人地域連携プラットフォーム共同代表理事、株式会社志木サテライトオフィス・ビジネスセンター代表取締役社長。1級・2級キャリアコンサルティング技能士、国家資格キャリアコンサルタント。
平成9年より10年間、青森大学に研究室を持ち「コミュニティビジネス論」「eビジネス論」等を担当。経営学部助教授、准教授、客員教授を務める。平成19年度、日本テレワーク学会の第4代代表理事(初代学会長)を務め、現在同学会顧問。一般社団法人地域連携プラットフォーム共同代表理事。公共機関と協働して「創業スクール」を継続して開講。「職育」をテーマとして始めたキッズステーション(民間学童保育)を提供する株式会社アーク教育社代表取締役社長。NPO法人東上まちづくりフォーラムでは設立時から2017年7月まで約15年間理事長を歴任。現在、キャリアコンサルタントの養成講習を行っており、累計で800名を超える国家資格者を輩出。
1. フリーランスは本当に増えすぎ?実際の増加率
前述のUpworkの調査によると、アメリカのフリーランス人口増加が5年間で約400万人に対して、日本は約580万人です。
2019年から2020年にかけてフリーランス人口が50万人減少した日本に対して、アメリカは200万人増の5900万人に達し、その後2021年にかけては横ばいの状況です。
日本はアメリカより一年遅れたものの、2021年には前年比1.5倍の増加率を達成しています。COVID-19の影響と副業解禁が重なり、驚くべき増加率であったと言えるでしょう。
出典:New Upwork Study Finds 36% of the U.S. Workforce Freelance Amid...|businesswire
2. フリーランスが急激に増えた理由
ではなぜ、日本のフリーランス人口がこれほどまでに急増したのでしょうか。
2.1 副業解禁+コロナ禍でのテレワークの普及
2017年に閣議決定された「働き方改革実行計画」によって、テレワークや副業、兼業など、自由な働き方が認められるようになりました。それにより、2018年は副業元年と言われています。とはいえすぐに副業解禁やテレワークが広がることはなく、対応する企業は少ない状況が続いていました。
しかし新型コロナウイルスの流行に伴う出社制限により、2020年春頃からテレワークが急速に普及。休日の外出自粛や休職なども伴い、空き時間の活用や働き方の見直しを行う人が増加しました。
2.2 フリーランス向け支援サービスやエージェントの増加
また企業側の変化についても、人件費を変動費に計上したいニーズが拡大していることが挙げられます。それによりフリーランス採用ニーズが高まったことから、発注者と労働者をマッチングさせる支援企業が増加。フリーランスの増加を後押しする背景になりました。
2.3 IT業界の人材不足
さらにITエンジニアの人材不足も、背景として挙げられます。自社内でITエンジニアを育てられる環境にない企業においても、DX(Digital Transformation)への対応のためにITエンジニアを必要とする場面が増えています。そのため臨機応変に参加して即戦力となるフリーランスの需要が、増大しているのです。
2.4「フリーランスにあこがれる人」も増えている
フリーランスは仕事をする時間や場所にとらわれにくく、さらに業務内容も自分で決められることから、正社員よりも働き方の自由度が高い傾向にあります。 このように自由な働き方に憧れて、フリーランスを目指す人も増えています。
▶ 参考記事
増えすぎ?なくなる?Webデザイナーの将来性や今後の需要を解説|デザキャリ
3.「フリーランスが増えすぎる」ことの問題点
このようにフリーランスが急増したことで発生する問題には、どのようなものが考えられるのでしょうか。
1. 社会的な信用が薄い働き手が増える
フリーランサーとして働く本人にとっては「クレジットカードや住宅・車のローンなどの審査に通りにくい」という問題が発生します。結婚に不安を感じるケースもあるでしょう。住宅や車が買えず、結婚にも不安があれば、結局は東京にとどまることになりがちです。
このように「社会的な信用が薄い状態の働き手が増える」と、自由な働き方に期待されている地方移住なども進まず、東京一極集中の状況は変わらないという社会的な問題も起こりうるでしょう。
2. 企業の業績悪化や景気の悪影響を受けやすい
正社員と違って雇用が守られないフリーランスは、景気の悪化や企業の業績悪化が雇用に大きく影響します。フリーランスは契約終了が突然決まることもあり、その場合にフリーランスが余っていると次の仕事がなかなか見つからないなどの事態も発生します。
3.「優秀ではない人」が独立することの危険性が非常に高い
フリーランスは自分の力で案件を探して、獲得するのが基本です。案件獲得の際には、自分の能力は自分でしっかりと見極めることが重要です。そのため経験の浅い人が気軽にフリーランスになると、受注した案件の難易度と自分の技術力のミスマッチが発生し、トラブルになってしまうことも。
このように「何となく」で独立する人が増えてしまうと、元の雇用主にとっては正社員の働き手を失い、フリーランスにとっては適切な案件が見つからないという、お互いにマイナスの大きい状態にもなりかねません。
4. フリーランスになるのを「やめたほうがいい」失敗するリスクが高い人の特徴
フリーランスになるのはやめておいた方がいい人には、次のような特徴があります。
フリーランスになると、自分の専門的な能力だけを発揮していればいいという状況ではなくなってしまいます。会社員ならば黙っていても得られた仕事を、フリーランスは自分で営業して取ってこなければなりません。またこれまでは事務方が行ってくれていた請求書の作成や、保険や税金の処理なども、自分で行う必要があります。
フリーランスは今よりも稼げる可能性も高いですが、このように稼ぐためには自ら積極的に動く必要があります。そのため楽をしたい人や今の環境を維持したい人がフリーランスになると、「期待と違っていた……」という状況になりがちです。
✔ 実際にフリーランスエンジニアが感じる後悔については、以下の記事でも詳しく解説しています。
後悔しているフリーランスエンジニアは多い?最悪の末路を回避する対策法|Liberty Works
5. フリーランスはいつまで続けられる?「末路」の例
優秀な人材であるほど、一つの案件が終わる前に次を確保していたり、そもそも複数の案件を並行して受注していたりするなど、上手にリスクヘッジしています。こういった人は、40代、50代となっても年齢を問わず最前線で活躍を続ける方も多いです。
対して末路が厳しい状況におちいりやすいのは、十分な実績やキャリアが無い状態で独立してしまった人の場合です。連続した案件確保が難しいような状況で正社員を辞めてしまった場合、正社員に戻ることもできず、アルバイトや派遣社員にならざるを得ないというケースも散見されます。
6. フリーランスが「増えすぎ」な状況下で、良質な案件を受注して成功するには?
「増えすぎ」と言われる状況下で良質な案件を受注し、フリーランスとして独立に成功する人には、次のようなポイントがあります。
フリーランスとして成功するには、やはり信頼が第一です。体調面を含めた自己管理をしっかりと行い、請け負った作業は必ず納期までに間に合わせることが重要です。もちろん作業の質も必要であり、クライアントとは報告・連絡・相談をこまめに行うことで、認識のズレなども起こらないよう気を付けることがポイントです。信頼を得ることで、次の案件獲得や単価アップにもつながります。
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7. まとめ
フリーランスという働き方を選ぶ人が急増したことで、「なってみたいけど今さらなっても大丈夫なの?」という方や、「もうなっているけど今後も大丈夫なの?」という方も増えているのではないでしょうか。
フリーランスエンジニアとしてこれからスタートしたい方や、今後も安定して案件を受注していきたいという方は、ぜひ一度ITエンジニア専門フリーランスエージェント「プロエンジニア」のキャリアコンサルタントに相談してみてください。
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