フリーランスとして独立を検討しているコンサルタントの方へ、「どの程度の経験が必要なんだろう?」「どんな下準備をすれば独立が成功するの?」など、疑問や不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、フリーランスコンサルタントになる方法や「独立の流れ」「独立のメリット・デメリット」を解説。また年収の目安、案件の探し方なども分かりやすく解説します。これからフリーランスコンサルタントになろうとしている方や、独立に興味があるという方は、ぜひ読んでみてください。
1. フリーランスコンサルタントとは
ひと言でフリーランスのコンサルタントといっても、種類は多岐に渡ります。まずはコンサルタントの定義や主な種類からご紹介いたします。
1.1 フリーランスコンサルタントの定義と特徴:具体的にどんな分野を手掛けるの?
コンサルタントとは、顧客企業の特定分野を改善するための助言や改善案を提供する職種です。「特定分野」の代表例には、たとえばITや人事、M&A、財務会計などが挙げられます。複数分野の改善にコンサルタントが携わり、プロジェクトが横断的になるケースも多くあります。
従来、コンサルティングは「コンサルティングファーム」が手掛けることが多かったものの、近年は副業解禁の流れもあり、個人事業主ないしは一人会社のオーナーなどが「フリーランス」として現場に入るケースもあります。
この場合は「コンサルティングファームに頼むほどの規模感ではないけど、コンサルタントの手は借りたい」といったニーズを満たすことができます。
主なフリーランスコンサルタントには、次のような種類があります。
1.2 フリーランスコンサルタントの業務内容と、必要なスキル、有効な公的資格まとめ
上でご紹介した6種類のフリーランスコンサルタントについて、業務内容、必要なスキル、有効な公的資格や学位をまとめました。
コンサルタントに資格は必須ではありませんが、特に組織に所属しないフリーランスにとって、これらの資格は信用の裏付けにつながります。そのため、資格の所持が案件を受注する際に有利に働く場合があります。
業務内容 | 必要な知識やスキル | 有効な公的資格や学位 | |
---|---|---|---|
ITコンサルタント | クライアントのIT戦略やシステム運用、新規システム導入の提案など | DX化支援の実務経験、論理的思考力、問題解決力、プロジェクトマネジメントなど | 情報処理技術者試験(プロジェクトマネージャ、ITストラテジスト、システム監査技術者、情報処理安全確保支援士)など |
Webコンサルタント | Webサービス等の企画・制作・運営・分析など | SEO、SNSなどの分析から施策の実行までの知識や経験など。Webデザインやプログラミングの知識もあると望ましい | 情報処理技術者試験(プロジェクトマネージャ、情報処理安全確保支援士)など |
財務会計コンサルタント | 会計法規改正の監視と対応、会計処理の改善、投資やコスト削減のアドバイスなど | 会計スキル、法知識など | 公認会計士、税理士、中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーなど |
人事コンサルタント | 各種人事制度や採用戦略、福利厚生の設計、教育制度の構築、人事制度改革など | 人事制度や福利厚生などの構築経験、採用広告などの制作・運用経験など | 社会保険労務士、キャリアコンサルタント、衛生管理者、中小企業診断士など |
戦略コンサルタント | 経営戦略、M&A戦略、グローバル戦略のアドバイスなど | 業務改善・課題解決に導いた経験、論理的思考力、分析力、コミュニケーション能力など | MBA(経営学修士)、公認会計士、税理士、中小企業診断士など |
M&Aコンサルタント | 企業価値の評価や交渉、デューデリジェンス、PMIの実施など | M&Aに関する知識、経営や財務に関する幅広い知識、分析力、交渉力、コミュニケーション能力など | 弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士、事業承継士など |
1.3 コンサルタントがフリーランスになるメリットとデメリット
コンサルタントがフリーランスとして独立すると、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。コンサルタントの種類を問わず、共通する点をまとめました。
■ コンサルタントがフリーランス化するメリット
フリーランスとして独立することのメリットとして挙げられるのは、やはり「案件を自分で選ぶことができる」という点です。
仕事をする場所や時間を自分で選ぶことができ、さらに自分のスキル次第で高単価の案件を得ることが可能です。そのため自分自身の努力次第で収入アップを目指せるだけでなく、逆にプライベートを重視して仕事量をセーブすることもできるというメリットがあります。
さらにフリーランスであれば、同じチームや同じ業務内容でずっと仕事を続けるというケースはあまりありません。人間関係が固定化せず、常にフレッシュな環境で仕事をすることができます。さらに業務内容についても、決められたものだけではなく、自分の興味のある分野を選んで、経験を積んでゆくことも可能です。
■ コンサルタントがフリーランス化するデメリット
フリーランスになるデメリットとして最も大きいのは、「会社という組織の後ろ盾がなくなる」という点です。
会社ではそれぞれの担当者が手分けして行っている事務処理や営業活動などを、フリーランスは全て自分一人で行わなければなりません。会社で加入していた年金や各種保険などの社会保障にも、個人で加入する必要があります。
さらにフリーランスは給与の保障がないため、収入が不安定になりがちです。そのため収入の安定した会社員より社会的信用が低いとみなされ、賃貸契約やローンの審査が通りにくくなるというデメリットがあります。
なお事務処理や営業活動については、フリーランスエージェントを利用すると負担を軽減することができます。できるだけ本来の業務に集中したいという方は、ぜひフリーランスエージェントの活用を検討してみてください。
弊社の運営する「プロエンジニア」では、IT業界に特化したキャリアコンサルタントが最適な案件をご紹介するだけでなく、キャリア戦略や業界の動向まで、親身になってサポートします。
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2. フリーランスコンサルタントの年収と単価相場:報酬体系は3通り
フリーランスになると収入が上がるというメリットがありますが、具体的な年収はどのぐらいになるのでしょうか。独特な報酬体系と、単価相場をご紹介します。
まずフリーランスコンサルタントの報酬体系には、次の3通りがあります。
2.1【フリーランスコンサルタントの報酬体系①】稼働時間制
稼働時間制では、実際に稼働した時間数をもとに「稼働率」を計算し、報酬が支払われます。ここで「稼働率100%」とは、「1日8時間×週5日勤務×4週間=160時間/月」をフルで勤務するという意味です。
例えば月額単価が80万円で、稼働率が50%の場合、
80万円×0.5=40万円
よって、その月に得られる報酬は40万円になります。経験の浅いフリーランスの場合、この稼働時間制のプロジェクトに参画するケースが多いようです。
2.2【フリーランスコンサルタントの報酬体系②】プロジェクト制
プロジェクト制では、実際の稼働率に関わらず、あらかじめ取り決めた額の報酬がプロジェクト単位で支払われます。この場合、プロジェクトの終了と契約の終了が連動しているケースが多いです。
2.3【フリーランスコンサルタントの報酬体系③】定額契約制
定額契約制では、稼働率やプロジェクトの内容にかかわらず、契約期間中は定期的に一定額の報酬が支払われます。この報酬体系を取っているコンサルタントは高いスキルや実績を持つ方が多く、顧問契約と呼ばれる場合もあります。
▶ 参考:【フリーコンサルタント年収】独立後の単価水準を徹底解説!|みらいワークス
2.4 フリーランスコンサルタントの単価相場(分野別)
専門分野別に、フリーランスコンサルタントの単価相場を調査しました。
このうち、ITコンサルタントの相場をピックアップして比較してみましょう。ITコンサルタントがフリーランスになると、平均年収の面で正社員のITコンサルタントを大きく上回ります。
当サイト「プロエンジニア」に登録されている「ITコンサルタント」の案件※1 を集計したところ、平均年収は約1020万円でした。なお最低月額のボリュームゾーンは60万円から、最高額は150万円以上です。年収1000万円以上も充分狙えます。
なお厚生労働省が発表する賃金構造基本統計調査(職種別)※2 によると、R4年度はシステムエンジニア(システムコンサルタント・設計者)の平均年収は約660万円です。
※1:2024年3月時点でプロエンジニアの「ITコンサルタント」カテゴリに登録されているフリーランス案件情報のうち、月額報酬の下限額および上限額が公開されている案件より、単価平均×12か月で年収平均を算出
※2:賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査にて公開されている職種別賃金のうち、「決まって支給する現金給与額」*12ヵ月分に「年間賞与その他特別給与額」を加えた値を算出
案件別にITコンサルタントの詳しい相場を知りたい方は、次のページをご覧ください。
▶ 参考:ITコンサルタントのフリーランス案件|プロエンジニア
※4:財務コンサルタントの仕事内容とは?年収や役立つ資格も紹介|MICHINORI
※5:フリーコンサルタントの年収の目安は?独立後の年収アップのポイントも紹介|コンサル業界ニュース
※6:戦略系のフリーコンサルタントの年収・単価相場を解説!|HRtable
2.5 フリーランスコンサルタントの年収や相場はポジション(レベル)でも変わる
次に、ポジションのレベル別にフリーランスコンサルタントの単価相場を調査しました。 フリーランスコンサルタントは最も初期のアナリストでも年収相場1000万円近く、コンサルタントは1000万円以上がボリュームゾーンです。
さらにマネージャー、シニアマネージャーと経験を積んでいくと、いずれは年収数千万円も充分視野に入る職種といえるでしょう。※
※出典:【フリーコンサルタント年収】独立後の単価水準を徹底解説!|みらいワークス
3. フリーランスコンサルタントになるためのステップ
3.1 コンサルティングファームに就職・転職する~コンサルタントとして実務経験を積む
フリーランスのコンサルタントを目指す場合、最も確実なのはコンサルティングファームに就職・転職することです。コンサルティングファームは、経営コンサルティングやITコンサルティングなど、専門分野によってさまざまな種類があります。自分がどんなコンサルタントになりたいかを考えて、適切な企業を選ぶことが大切です。
なお、ITコンサルタントの場合、SEからステップアップしてゆくという方法もあります。SEとして5年程度の上流工程の経験があれば、ITコンサルタント職に昇格や転職がしやすくなります。
またフリーランスのITコンサルタントには、SEからだけでなく技術営業職だった方からコンサルタントに転身した方も数多くいらっしゃいます。さらにコンサルタントの経験がなくても、プロジェクトマネジメントの経験があれば受けられる案件もあります。PMで課題を解決した経験がある方は、そういった案件からコンサルティングの経験を積んでゆく方法もあります。
▶ 参考:【PM/PMO/コンサル】ECサイト構築(発注側IT課題解決)支援|プロエンジニア
ITコンサルタントになるためには様々なルートがありますので、自分に合った方法を探してみてください。
3.2 個人事業主になるための手続きをする~退職する
フリーランスとして20万円以上の収入見込みがある場合、確定申告を行う必要があります。その際、副業・専業問わずに「個人事業主」として開業していれば、控除額の幅が大きい青色申告ができるようになります。個人事業主になるには、市区町村の役所に「開業届」を提出します。
なお初めから事業の規模が大きくなることが明らかな場合、法人として登録した方が税制上で有利になるケースがあります。その場合は、会社の設立登記を行います。
開業手続きについて詳しくは、フリーランスコンサルタントの開業手続きチェックシート を参照してください。
専業のフリーランスになる場合は、早めに現在の勤務先を退職する準備も必要です。
副業から始める場合は、退職の必要はありません。
3.3 フリーランスエージェントに登録する~案件に参画する
独立前に充分な人脈を確保していた場合、最初の案件を知人から紹介してもらえるようならスムーズに進みます。しかし紹介が難しい場合は、フリーランスエージェントへの登録がおすすめです。フリーランスエージェントとは、案件を探したいフリーランスと、依頼したいクライアントをマッチングさせるサービスのことです。
案件のリストから自分で希望する案件を探して申し込むことができるだけでなく、自分のスキルや経歴、希望する単価などをサイトに登録しておくと、ぴったりな案件をエージェントに紹介してもらうこともできます。エージェントを介すると、単価などの契約条件を代わりに交渉してくれたり、請求書発行など事務処理の代行も行ってくれたりなどのサポートが受けられます。
エージェントのサポートを受けることによって、本来の業務以外にかかる手間や時間を削減することができます。業務に集中したい方におすすめです。
なお契約する際には、報酬体系や契約期間だけでなく、納期や連絡方法なども充分に確認しておきましょう。
4.【2024】フリーランスコンサルタントの開業手続きチェックシート
フリーランスの開業にはどんな手続きが必要なのか不安な方へ、2024年時点で個人事業主として開業するために必要な手続きを、チェックシートにまとめました。
フリーランスとして開業するには、納税地(住民票に記載されている住所)の税務署長に「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。
同時に、会社員向けの厚生年金から、国民年金への切り替え手続きを行っておく必要があります。
健康保険については、退職後も前職の健康保険組合に2年間だけ継続して加入することが可能です。とはいえ2年後には国民健康保険に切り替える必要があるので、早めの準備がおすすめです。
フリーランスの開業手続きについて詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
5. フリーランスコンサルタントの将来性
どの分野においても、フリーランスのコンサルタントは将来性のある職種です。前述のような「コンサルティングファームに頼むほどの規模感ではないけど、コンサルタントの手は借りたい」という企業の需要は、今後も継続すると考えられます。
その中でも、昨今のITエンジニア不足やDX化の推進を受けて特に注目されているのが、「ITコンサルタント」です。
5.1 フリーランスコンサルタントの中でも「IT分野」は特に注目
国内でもDX(デジタルトランスフォーメーション)というワードが浸透し、ITコンサルタントの需要は非IT企業を中心にさらに高まりつつあります。そのため、IT企業の技術営業職からITコンサルタントに転職する方も増加しています。
その一方で、中小規模の企業では、営業がITコンサルタントに相当する役割を担うこともあります。 これは「コンサルティングスキル」と「IT知識」を併せ持つ方が少ないことを意味しています。中小規模の企業では現場に併走するような動き方を意識することで、フリーランスのITコンサルタントの方は参画可能性がある案件の幅が大きく広まるでしょう。
フリーランスITコンサルタントの市場動向について、詳しくはプロエンジニアの「ITコンサルタントフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル」をご覧ください。
▶ 参考:ITコンサルタントフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル|プロエンジニア
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起業で成功しやすい業種と失敗しない方法を徹底解説
6. フリーランスITコンサルタントの案件獲得方法とおすすめのエージェント
ここまでご紹介したように、フリーランスコンサルタントが案件を獲得するには、エージェントの利用が最もスムーズです。
ここではフリーランスITコンサルタントを例にとり、4つのおすすめエージェントをご紹介いたします。
幅広い分野の案件を扱い、高単価なプライム案件が充実しています。また、稼働率が20%〜の案件やリモートワーク可能な案件も多く、フレキシブルな働き方を目指すフリーランスコンサルタントにおすすめです。
● Professional Hub(プロフェッショナルハブ)
業務コンサル分野が特に強いエージェントで、IT分野ではPMOの案件が豊富です。勉強会や研修も開催しているので、フリーランスでもスキルアップが可能です。
● High Performer Consultant(ハイパフォコンサル)
IT・業務・戦略など幅広い分野の案件を保有しています。案件紹介開始20年ということから、実績が豊富で、案件数も業界最多水準です。
フリーランスITエンジニア専門のエージェントで、ITコンサルタントやWebコンサルタント、PMOなどの案件も豊富に揃っています。直案件が多く、手数料も約10%、さらに担当者のレスポンスの速さも人気の理由となっています。
弊社サービス「プロエンジニア」では、フリーランスの方の独立支援のご相談も柔軟に可能です。実際に当社が支援した方の中には、正社員時代に相談に申し込みいただいたのち、半年ほど継続的にやり取りをしてから独立に至ったケースもあります。この期間中には独立に必要な手続きなどのご相談にも対応しています。
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7. フリーランスコンサルタントの稼働率の実態と目安
一般的なコンサルティングファームで「100%アサイン」という場合、その100%には残業が含まれています。そのため、実態稼働率は200%を超えることがあります。
それに対して、フリーランスの場合は「100% = 160h/月」を指します。そのためコンサルティングファームと同様の働き方を好む方は、複数案件を掛け持ちをし、稼働率を200%近くに調整する方も多いようです。平均としては、稼働率150%程度と言われています。※
※出典:フリーランスの戦略コンサルタント・AIエンジニアにおける案件特性・単価/年収の違い|Liberty Nation
8. まとめ
このようにコンサルタントがフリーランスになると、好きな案件を選んで受注することができるようになるだけでなく、高額な年収を狙うことも可能です。逆に余裕を持った受注の仕方で、自分に合った働き方を探したり、プライベートを充実させている方もいらっしゃいます。
そのかわり案件探しや事務処理の手間は増えてしまいますが、その場合、エージェントの活用がおすすめです。
この記事が、フリーランスとしての独立を考える一助となりましたら幸いです。
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