Webマーケターがフリーランスとして独立する場合、「どのぐらいの経験年数やスキルが必要なんだろう」「年収はどのぐらいもらえるのかな」といった疑問や不安があるのではないでしょうか。
本記事では、フリーランスでWebマーケティング案件を受注するために必要な知識や経験から、想定される年収、独立までの流れや必要な手続きなど、具体的にご紹介します。
フリーランスという働き方に興味のあるWebマーケターの方や、これからWebマーケティングを学びたいと考えている方も、ぜひご覧ください。
1. フリーランスのWebマーケティングとは?
フリーランスのWebマーケティング担当者(Webマーケター)とは、多くの場合、会社に所属せずにプロジェクト単位でWebサイトやWebサービスのマーケティングを担当する人のことです。
その契約方法は、顧客から直接受注するだけでなく、フリーランスエージェントやクラウドソーシングサービスなどを通して案件を受注します。
フリーランスWebマーケターには、Webマーケティングに関する知識や分析、統計の知識、SEOの知識などが求められます。
1.1 フリーランスのWebマーケティング(Webマーケター)の業務内容
フリーランスWebマーケターの業務内容には、次のようなものがあります。
フリーランスのWebマーケティング担当者(Webマーケター)の主な業務内容は、通常のWebマーケターと同様に「WebサイトやWebサービスのマーケティングを行うこと」です。SEO対策やコンテンツマーケティングを行うほか、Web広告やSNS戦略の企画や運用を行います。またアクセスを解析をし、分析した結果のレポート作成なども行います。
1.2 フリーランスWebマーケターの平均年収は?
株式会社イールドマーケティングが行った調査によると、フリーランスとして得た直近一年間の年収は、300~400万円が最も多く26%、次いで、400~500万円が21%でした。※1
出典:調査2.フリーランスWebマーケターの年収|イールドマーケのデジマブログ
参考までに、「求人ボックス給与ナビ」が2024年時点でサイト上に登録されているデジタルマーケティングの求人情報から算出した値によると、正社員デジタルマーケティング職の平均年収は457万円でした。※2
なお厚生労働省が発表する賃金構造基本統計調査 によると、R4年度の全一般労働者の平均年収は約497万円です。※3
このように、フリーランスのWebマーケターの年収は正社員とあまり変わらないか、少し低めの水準にあるようです。その理由について、調査を実施したイールドマーケティングでは次のように注意書きをしています。
この統計データで高年収者の割合が少ない理由として、高年収者ほどアンケート調査に回答しない可能性があり(アンケート調査の報酬が通常の業務より高くなく割に合わないため)、それも考慮に入れる必要があります。※1
なおこの調査で1000万円以上と回答している方もいるように、スキル次第で年収1000万円以上を狙うことは充分可能です。
※1:2024年5月時点で「【実態調査】フリーランスWebマーケター300人に聞いた年収や働き方、実態について」にて公開されているアンケート結果
※2:2024年5月時点で「デジタルマーケティング関連の仕事の年収・時給・給料|求人ボックス給料ナビ」に公開されている求人統計データ
※3:賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査にて公開されている一般労働者の平均年収を算出
1.3 フリーランスWebマーケターの平均年齢は?
株式会社イールドマーケティングが行った調査によると、回答者の年齢は30代が最も多く40%、次いで40代が28%でした。
Webマーケティングという比較的新しい技術の分野でありながら、男性については20代よりも40代の方が割合が高く、40歳をすぎても続けられる仕事だということが伺えます。
出典:フリーランスWebマーケターの年収|イールドマーケのデジマブログ調査回答者の属性詳細|イールドマーケのデジマブログ
1.4 フリーランスWebマーケターの1日:タイムスケジュール例
株式会社イールドマーケティングが行った調査によると、1日あたりの就業時間は、4~6時間と6~8時間が同率一位で27%、次いで8~10時間が19%でした。
このように、正社員よりも勤務時間は少なめの方が多いといえるでしょう。
出典:調査3.フリーランスWebマーケターの働き方|イールドマーケのデジマブログ
参考までに、フリーランスITエンジニア専門エージェント「プロエンジニア」を通じて、フリーランスWebディレクターとして活躍している方の1日のタイムスケジュールを見てみましょう。
■ 正社員ディレクターからフリーランスに転身した大熊さんの場合
フリーランスWebディレクターである大熊さんは、以前は正社員のWebディレクターとして勤務していました。しかしキャリアの幅を広げたいという思いから、入社9年目にフリーランスとして独立しました。現在は、正社員時代には選ぶことができなかった領域の案件も担当しています。
午前中はメールチェックや作業確認などを行い、午後はクライアントとの打ち合わせや作業指示などを行っています。作業は基本的にテレワークで行い、残業は少なめという働き方を選択しています。
出典:勤続9年のベテラン正社員ディレクターからフリーランスに。経験やキャリアの幅を広げたい!
2. フリーランスのWebマーケターになるには?求められるスキルや経験年数
企業にとって、フリーランスのWebマーケターは「外部人材」です。つまりフリーランスは育成する対象ではなく、即戦力になるスキルが求められます。
Webマーケターの場合、求められるスキルや経験は次の通りです。
2.1 2年以上の実務経験
前述のように、フリーランスには充分な実務経験が求められます。フリーランスWebマーケターの場合、多くの案件で「Webマーケティングを扱った実務経験が2年以上あること」が求められます。
2.2 Webマーケターに必要な知識やスキル
おさらいになりますが、Webマーケターには次の業務内容をこなすための知識やスキルが必要です。
• SEO対策
• コンテンツマーケティング
• Web広告の企画と運用
• SNS戦略の立案と運用
• アクセス解析とレポート作成
まずSEO対策やコンテンツマーケティングなど、Webで集客するための知識を持っておく必要があります。またWeb広告やSNSを活用する企画を立て、その運用体制を整えます。
さらに、それらの施策が効果があったのか、問題点があるならばどこを改善すればいいのかを解析し、顧客に報告するためのレポートを作成するスキルも重要になります。
2.3 自己管理能力
自由な働き方を選べるフリーランスは、自分自身で作業の進捗管理を行う必要があります。
またフリーランスは体調を崩して仕事ができない状況になると、収入の減少にも直結します。あまり無理をせず、自分の体調を管理する能力も大切です。
さらにフリーランスは、税金や保険などの事務手続きも自分で行います。先延ばしにしているうちにうっかり忘れてしまったということがないよう、自己管理が重要です。
2.4 営業力や交渉力
会社員とは違い、フリーランスは仕事を得るために自分で自分を売り込む必要があります。また単価アップを掛け合う場合など、交渉力も重要です。
営業などの雑務にはあまり時間を使わず、本来の業務に集中したいという方には、フリーランスエージェントの利用がおすすめです。
当サービス「プロエンジニア」は、フリーランスITエンジニア向けのエージェントです。もし案件獲得や交渉にお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。
3. 会社員からフリーランスのWebマーケターになる「独立の流れ」(ロードマップ)
Webマーケターがフリーランスになるまでの、一般的なロードマップをご紹介します。独立までの基本的な流れを把握するための参考にしてください。
3.1 Webマーケターとして就職・転職する~ Webマーケターとして実務経験を積む
フリーランスのWebマーケターになるには、まず会社員のWebマーケティング職に就職・転職し、Webマーケティングの実務経験を積むことが近道です。
未経験からフリーランスになる方もいますが、案件探しが難しくなります。ただし専門のマーケターではなくても、WebディレクターなどWebサービスのディレクション経験がある場合、マーケティングを含むWebディレクター案件を受注できる場合があります。
3.2 個人事業主になるための手続きをする~退職する
フリーランスとして活動する場合、多くの方は住民票のある市区町村に開業届を提出し、「個人事業主」になります。事業の規模が大きい場合は、会社の設立登記を行って「法人」を設立することもあります。登録する方法によって、税金や保険の手続きが変わります。
専業のフリーランスになる場合は、開業手続きの前に勤務先を退職するための準備も行っておきましょう。企業によって「退職の○か月前までに申告が必要」などが個別に定められているので、早めのチェックがおすすめです。なお副業から始める場合は、退職は不要です。
開業手続きについて詳しくは、4.【2024】フリーランスWebマーケターの開業手続きチェックシートでご紹介します。
3.3 フリーランスエージェントに登録する~案件に参画する
特に最初のクライアントに伝手がない状態から独立する場合、案件探しにはフリーランスエージェントの活用がおすすめです。フリーランスエージェントとは、フリーランスと顧客をマッチングさせるサービスのことです。
フリーランスエージェントでは、サイト等に掲載されている案件に申し込むことができるほか、自分のスキルや職務経歴、希望する単価、勤務条件などを登録し、自分に合った案件をエージェントに代理で探して紹介してもらうことができます。
紹介を受ける場合、契約条件の交渉や確認、請求書発行などの事務処理については代行してもらえるエージェントもあります。雑務に時間をあまり取られずに業務に集中したいという方には、特にエージェントの利用がおすすめです。
4.【2024】フリーランスWebマーケターの開業手続きチェックシート
個人事業主のための「開業手続き」について、2024年4月時点でフリーランスとして開業するために必要な手続きを、チェックシートにまとめました。
これらの手続きのうち、健康保険のみ退職後も2年間は退職前の保険証を継続して利用することができます。ただ、あまり先送りにしてしまうと、うっかり忘れていて有効期限が切れてしまったという人も。早めの手続きがおすすめです。
5. フリーランスのWebマーケターになるメリットとデメリット
ここまで、フリーランスのWebマーケターには高いスキルや自己管理、手続きが必要だとご紹介しましたが、改めて独立のメリットとデメリットを一覧にまとめました。
5.1 Webマーケターがフリーランス化するメリット
フリーランスになると、作業内容にほぼ拒否権のない会社員とは異なり、自分が興味を持てる案件や、自分の作業ペースに合う案件を選んで受けることができるというメリットがあります。
また年収については、ボリュームゾーンは会社員とほぼ同じですが、スキルを高めてゆけば高収入を得ることも可能です。
5.2 Webマーケターがフリーランス化するデメリット
対するデメリットとして、税金などの各種手続きだけでなく、案件獲得のための営業やクライアントとのトラブル対処など、本来の業務以外にも時間を使わなければならない点が挙げられます。
またフリーランスはケガや病気などで仕事ができなくなると、ほぼ無収入になってしまいます。そのため収入が不安定だとみなされ、ローンやカードの審査が通りにくくなるなど、社会的な信用が低下しがちです。
家や車を買う予定がある方やクレジットカードを作成する予定がある方は、一通り済ませてから退職することがおすすめです。
6. フリーランスのWebマーケティング案件獲得方法
フリーランスがWebマーケティング案件を探す方法として、次の3つが挙げられます。
フリーランスとして充分な人脈を築いている方は、知人の紹介などでクライアントと直接契約し、仕事をしていらっしゃる方も数多くいらっしゃいます。
しかし人脈がないうちは、クラウドソーシングサービスやフリーランスエージェントなどを通して案件を探す方法が一般的です。
クラウドソーシングとフリーランスエージェントは「サイトに案件が並んでいて、そこから選んで申し込む」という点で似ているように見えますが、次のようなサービスの違いがあります。
• クラウドソーシングサービス
フリーランスが自分で案件(クライアント)を探す場所を提供
• フリーランスエージェント
フリーランスが自分で案件を探すほか、登録された条件に合う案件を担当エージェントが個別に探して紹介するサービスを提供
副業で利用する場合は、クラウドソーシングサービスの方が小規模から多彩な案件を扱っている点で便利です。専業の場合は、フリーランスエージェントの利用がおすすめです。エージェントは担当するフリーランスごとにカスタマイズした条件で最適な案件を探すだけでなく、単価交渉の代理や、事務処理なども行います。
雑務を省力化しWebマーケティングの業務に集中したいという方は、エージェントの利用をご検討ください。
弊社サービス「プロエンジニア」では、フリーランスになりたい方の独立支援のご相談も承ります。これまで支援した方の中には正社員時代のご相談から並走し、安心して独立していただいた実績もございます。
▶ 独立支援も無料で承っています。ぜひお気軽にご相談ください。
7. フリーランスに転身した方の具体例とご本人へのインタビュー
実際に会社員からフリーランスに転身した方の事例として、ご本人へのインタビューを紹介いたします。
【Q】プロエンジニアを利用して良かった点を教えてください。
【A】一つはレスポンスの速さです。碓井さんはとにかく連絡のレスポンスが早いんです(笑)四六時中スマホを見張ってるのでは?と思うほど早いので、何か分からないことがあったときや、トラブルを想定すると安心できます。
また、希望単価で契約できたことはもちろん、単価交渉にも柔軟に対応してくれます。もちろん案件参画後すぐ交渉ができるわけではないですが、現在案件参画から1年が経過し、企業様に私自身の対応業務の幅が広がったことや、今後の対応業務の提案等をさせていただき単価交渉を行っており、そこでも碓井さんは親身になってフォローしてくださるので助かっています。
8.【2024】フリーランスWebマーケターの市場動向と将来性
フリーランスITエンジニア専門「プロエンジニア」のエージェントによると、WebサイトやWebアプリケーションなどの「Webサービス」の数は、今もなお著しい増加を続けています。それに伴いWebサービスの新規作成や改修の需要もさらに高まっていることから、Webマーケティング人材の需要も高い状況が続くと考えられています。
9. フリーランスWebマーケターのキャリアパスや目標設定の例
フリーランスWebマーケターのキャリアパスの例として、次の3つが挙げられます。
WebエンジニアからWebマーケターに転向した方などは、マーケティングが得意なWebディレクターとしてディレクション業務にキャリアの幅を広げる方法があります。
またWebディレクションに関する知識を加えてより経験を重ねることで、さらに単価の高いWebコンサルタントを目指すというキャリアパスもあります。
逆にマネジメントより開発に近い技術を高めていきたいという方には、マーケティングもできるフルスタックエンジニアを目指すというルートもあります。
他の職種を目指すだけでなく、Webマーケティングの専門家としてスキルを高めていくことも可能です。自分に合ったキャリアパスを選べることも、フリーランスの魅力です。
10. フリーランスのWebマーケターが収入を上げる方法
フリーランスとしてWebマーケターが収入を上げていくにはキャリアパスも大事ですが、単価のアップも重要ですよね。フリーランスとしてWebマーケターが単価アップするには、経験年数を積むほかに、次のような方法があります。
10.1 分析やマーケのスキルに加え、Webディレクションスキルを身につける
Webマーケターが案件を受注する際に、Webディレクションスキルもあると高単価の案件を受注できるようになります。とはいえ、ディレクションは一人で身につけることの難しいスキルです。そこで資格を取得して知識があることを証明すると、ディレクション寄りのマーケティング案件を受注できる可能性が高まります。
ディレクションに関する資格も含め、Webマーケターには次の4つの資格がおすすめです。
• Webディレクション検定
• Webリテラシー試験
• Web解析士
• Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)
資格を取れば確実に受注につながるという保証はありませんが、実務では未経験でも知識があることを示すことができるほか、自分が持っている知識の棚卸しにもなります。機会があれば、ぜひチャレンジしてみてください。
10.2 複数の案件を掛け持ちする
Webマーケターに限った話ではありませんが、フリーランスの収入は、単純に複数の案件を掛け持ちすると増やすことができます。
その反面、案件を掛け持ちすると1件あたりの進捗スピードや品質が落ちやすいだけでなく、自分の健康面の管理も難しくなります。自分が対応できる量や案件の難易度をしっかりと見極めて、無理のない範囲で追加することが大切です。
10.3 SNSやブログなどで自己ブランディングを行う
フリーランスが収入を上げる方法として、人脈作りは意外な効果を発揮します。Webマーケターとしての信用がアップすることで、クライアントから直接依頼がきたり、フリーランス仲間から条件の良い案件を紹介してもらう機会も増加します。
そのためにはSNSやブログなどでWebマーケティングに関する情報を発信することが有効ですが、SNSでのプライベートな発言が逆効果になる場合もあります。仕事とプライベートではアカウントを分けて運用することがおすすめです。
11. まとめ:フリーランスのWebマーケティング(Webマーケター)は柔軟な働き方を求める人におすすめ
Webマーケターがフリーランスとして独立することの魅力は、まず自分の考えるキャリアパスに適した内容の案件を受注できるという点です。加えてWebマーケティングはオンラインで完結する作業が多く、オフィスに常駐することが重要ではない職種なので、フリーランスに向いていると言えるでしょう。
ただフリーランスになると、営業や交渉、事務手続きなど、本来の業務だけに打ち込んでいられないというデメリットがあります。そういった作業に時間を使うのはもったいないと感じる方は、ぜひフリーランスエージェントの利用を検討してみてくださいね。
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