急速に世界に普及し、今やスマートフォンやタブレットにおける世界標準のプラットホームとなったAndroid。Android上でアプリケーションを構築するニーズも加速し、多くの技術者がその開発に取り組んでいます。
本記事ではアプリケーションエンジニアとしてのスキルの証明やスキルアップとして利用できる「Android 技術者認定試験制度(ACE)」の難易度や資格取得に役立つ情報を紹介します。
1. Android技術者認定試験の難易度は?
Android技術者認定試験のアプリケーション試験、およびプラットフォーム試験について、それぞれの難易度を紹介します。
1.1 Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシックの難易度は?
Androidのアプリケーション開発を行う技術者の基本的な知識をチェックできる「ベーシック」試験では、開発に必要となる基本的な知識を問う内容が出題されます。
とはいえ経済産業省が認定するITスキル標準※によると、Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシックは「レベル2」に設定されています。これは出題範囲の近い資格である「Oracle認定Javaプログラマ」の最上位難度である「Gold」と同じレベルであり、難度は高めといえるでしょう。
※ ITスキル標準とは:経済産業省が定めるIT関連能力を体系化したスキル指標
なお実際に出題される問題には、暗記で解ける文章問題とプログラムを読む問題があり、プログラムを読んで解答する問題は、どれもJavaの知識が不可欠となります。出題の範囲は広く浅く、応用力よりも記憶力が試される問題が多めです。とはいえ実際にコーディングや開発機能を試してみてよく理解しておくことも大切です。
公式で発表されている試験開始から2014年までのアプリケーション試験の平均点と合格率の推移は、次の通りです。合格率は44.6%と、半数弱の方が合格しています。
【参考データ】
アプリケーションベーシック試験の2010年~2014年累計結果
累計平均点66.9点(合格点70点)、合格率44.6%
参照:Authorized Certification of Engineer for Android
1.2 Androidプラットフォーム技術者認定試験ベーシックの難易度は?
この試験は、Androidのプラットホーム開発を行う技術者のスキル認定を目的としています。
「ベーシック」は基本的な知識を確認する内容であり、世界で通用する資格として人気を集めています。難易度はITスキル標準※ではアプリケーション試験と同じ「レベル2」に設定されていますが、プラットフォームの方が難度が高いと感じる受験者も多いようです。実際にプラットフォーム試験は初年度以降急激に合格率が低下しており、また平均点も下がっていることから、難化傾向にあると言えるでしょう。合格率の平均も27.3%と、アプリケーション試験と比較して低めにとどまっています。
【参考データ】
プラットフォーム試験の2012年~2014年累計結果
累計平均点63.8点、合格率27.3%
参照:Authorized Certification of Engineer for Android
1.3 他IT資格と比較したAndroid技術者認定試験の難易度は?
経済産業省が定める「ITスキル標準(ITSS)※」から、Android技術者認定試験ベーシックと同じ「レベル2」の試験や、その他の人気IT資格のレベルを比較してみました。同じくプログラマー向けの開発技術を問う試験では、レベル2には「Gold」や「準上級」など高難度の試験が設定されています。よって「ベーシック」という名称でも、比較的難度の高い試験と考えられます。
ITSSの認定レベル | そのレベルの主な試験 |
---|---|
レベル0 | Oracle認定Javaプログラマ(Bronze) |
レベル1 | Oracle認定Javaプログラマ(Silver)、Ruby技術者認定試験(Silver)、PHP技術者認定試験(初級) |
★レベル2 | Oracle認定Javaプログラマ(Gold)、Ruby技術者認定試験(Gold)、PHP技術者認定試験(準上級) |
レベル3 | PHP技術者認定試験(上級) |
2. Android技術者認定試験対策におすすめの参考書・問題集
本章ではこれからAndroid技術者認定試験を受ける方が学ぶために役立つ参考書・問題集の紹介をいたします。
2.1 Android™アプリケーションの仕組みを初歩から学ぶ公認学習書
『3週間完全マスター Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシック』
著者:Android技術者育成チーム
発売日:2012年10月4日
価格:3,080円(税込)
出典:Amazon
Androidアプリケーションの仕組みを初歩から学び、「Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシック」に合格するための公認学習書です。Androidアプリケーション開発の初歩から始めて、3週間の学習期間で試験に合格することを目指します。
2.2 Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシックの対策問題集
『Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシック対策実践問題集 改訂版』
著者:Androidアプリケーション技術者認定試験対策委員会
発売日:2013年1月21日
価格:3,080円(税込)
出典:Amazon
Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシックの対策問題集です。 出題範囲である「Android技術スキル標準」を網羅した、210問の模擬問題が掲載されています。
2.3 Android試験対策の教科書
『携帯OS教科書 Androidアプリケーション技術者ベーシック』
著者:山本道子
発売日:2011年12月17日
価格:4,180円(税込)
出典:Amazon
Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシックの受験対策書です。出題範囲(アプリケーションスキル for Android)の詳しい解説だけでなく、220問の練習問題と70問の模擬試験が掲載されています。さらにダウンロード提供されるサンプルコードを動かしながら、APIなどの仕組みを確認することもできます。これから資格取得を目指す方はもちろん、現場で開発経験を積んだ方にもお薦めの1冊です。
2.4【Web】Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシック予想問題集
出典:日経XTECH
『日経XTECH Androidアプリケーション技術者認定試験ベーシック予想問題集』
Web上で取り組むことが出来る問題集です。回答と解説についてはTech-On!プレミアム会員の方のみ閲覧可能です。
趣旨
アプリケーション技術者認定試験ベーシックは、Androidアプリケーションの開発および保守を行う技術者を対象としている。アプリケーション開発に必要な基礎知識について出題し、スキル認定を行う。
著者:「Android技術者認定試験」予想問題作成委員会
2.5【Web】Androidプラットフォーム技術者認定試験ベーシック予想問題集
出典:日経XTECH
『日経XTECH Androidプラットフォーム技術者認定試験ベーシック予想問題集』
Web上で取り組むことが出来る問題集です。こちらも、回答と解説についてはTech-On!プレミアム会員の方のみ閲覧可能です。
趣旨
プラットフォーム技術者認定試験ベーシックは、Androidプラットフォーム開発を行う技術者を対象としている。2012年夏以降に実施する予定だ。対象は、アプリケーション下位層のライブラリ、ランタイム、Linuxカーネルが中心となる。
3. Android技術者認定試験合格者に聞くにおすすめの勉強方法
本章ではAndroid技術者認定試験に合格した人からこれから試験を受けられる方への勉強方法やアドバイス等を抜粋しました。詳しくはリンクのサイトを参考にしてみてください。
■ これから試験を受けられる方へのアドバイス等をお聞かせください。
• 問題集の模試で、答えの暗記ではなく8割解けると合格できると思います。
• 試験勉強は、教科書をベースに、ある程度理解できたら、問題集→教科書の繰り返しで問題ないと思います。
• Javaの知識があると解ける問題もあるので、Java知っている方は、ほんの少しだけ有利かもしれません。
• アプリ作ると楽しいので、余裕があれば、机上の勉強+実際にアプリを作ってみる、試してみると良いと思います。
• テキストを繰り返し読み、練習問題を確実に解答できるようにする。
• 時間に余裕があれば、実際にプログラミングをして理解を深める。
4. Android技術者認定試験合格のメリット
Statcounter Global Stats が全世界200万超のサイトに埋め込まれたトラッキングコードをもとに行った調査によると、2022年5月のモバイルOSのシェアトップ3は次の結果になりました。
OS | 世界シェア
(順位) |
日本シェア
(順位) |
---|---|---|
Android | 71.45%
(1) |
35.49%
(2) |
iOS | 27.83%
(2) |
64.38%
(1) |
Samsung | 0.41%
(3) |
0.07%
(3) |
出典:Mobile Operating System Market Share Worldwide|Statcounter Global Stats
このように日本国内でのシェアトップはiOSですが、Androidも三分の一以上を占めています。さらに世界シェアについてはAndroidがトップであり、Android技術者は今後も需要の高い状況が続くと言えるでしょう。
さらにAndroid技術者認定試験合格の具体的なメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
【企業へのメリット】
• 企業の人的資産及び保有技術力のアピール
• 公平で客観的な評価・査定制度の確立
• 人材育成・研修の成果確認
【技術者へのメリット】
• 保有スキルの客観的認識とキャリア構築の指標確保
• 保有スキルを公正な評価として外部に提示できる
• ロゴを利用し、自らをPRできる
5. Android技術者認定試験制度(ACE)とは
Android 技術者認定試験制度は、Androidのアプリケーションやプラットフォームの開発スキルを認定する試験です。
この試験は日本のみならず、全世界160カ国に配信されており、日本語、英語、繁体中国語での受験が可能です。
受験者は2016年9月の発表時点で5500人を超えており、グローバルスタンダードとして評価されています。
5.1 Android技術者認定試験制度(ACE)の特徴
◆ Android技術者認定試験制度には『アプリケーション技術者認定試験』と『プラットフォーム技術者認定試験』の2つが用意されています。
◆ Androidを使った様々なアプリを開発することに役立てたい場合は「アプリケーション技術者認定試験」、Androidのオープンソース開発に携わりたい場合は「プラットフォーム技術者認定試験」を受けると良いでしょう。
◆ レベルは「ベーシック」と「プロフェッショナル」の2段階設定となっており、受験者が目標を立て易い構成となっています。(現時点でプロフェッショナルは準備中です)
◆ 本試験は独立行政法人情報処理推進機構が策定したETSS(組込みスキル標準)に準拠したETEC(組込み技術者試験制度)とも連動しています。本試験に加えてこれらを受験することは、単にAndroid関連のスキルを証明するためだけではなく、組込み技術者としてのスキルチェックを行う意味でも大きな価値を持っていると言えます。
◆ 経済産業省が定めるITSS(ITスキル標準※)に基づき特定非営利活動法人スキル標準ユーザー協会が発表している「ITSSのキャリアフレームワークと認定試験・資格とのマップ」にも、ACEが組み込まれています。
5.2 受講対象者
Android技術者
Java開発者
Webアプリ開発者
iPhoneアプリ開発者
モバイル開発者
Android™を学習している学生・教師
大学、専門学校、教育機関など
5.3 受験料
◆ 一般16200円(税込)
※団体受験や学割受験もあります。
5.4 試験会場とスケジュール
受験可能な試験会場や予約状況についてはホームページ上で確認が可能です。
◆ 受験会場:全国160ヶ所以上
◆ 会場により異なる(ほぼ毎日)
◆ 試験会場・スケジュール
※↓画像をクリックして確認可能です。
出典:PROMETRIC
5.5 問い合わせ先・運営事務局
◆ お問い合わせ|Authorized Certification of Engineer for Android
6. まとめ
Android技術者認定試験は多言語での受験に対応しており、グローバルに展開されている資格です。難度の高い試験ですがITSSによってレベルが担保されており、スキル証明として評価されやすい資格と言えるでしょう。さらに自分の保有スキルを客観的に認識し整理することで、今後のキャリア構築の指標にもなります。
最終的に受験まで至らなくても、試験勉強を行うことで自分が持っている知識の整理や足りない知識の確認にもつながります。すでにAndroid技術者の方も、これから学びたいという方も、この機会に試験範囲をチェックしてみてはいかがでしょうか。
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