フリーランスのPMOになりたい方へ、「どの程度の経験やスキルが必要なんだろう?」「そろそろ独立したいけど、何から手をつけたらいいのかな?」などの、よくある疑問にお答えします。
この記事では、PMOのフリーランス案件を受注するために必要なスキルや、平均年収の目安、独立までに必要な手続きの一覧、独立後の案件の探し方まで、詳しくご紹介しています。
フリーランスに興味のあるPMOの方や、これからPMOになろうとしている方は、ぜひご覧になってみてください。
1. フリーランスのPMOとは?
フリーランスのPMOとは、プロジェクトマネジメントオフィスの業務をフリーランスで行う人のことです。
企業には所属せず、多くの場合は案件単位でプロジェクトに参画します。エージェントやクラウドソーシングサービスを通して契約する場合と、クライアントと直接契約する場合があります。
1.1 フリーランスPMOの業務内容
フリーランスPMOの業務内容は、基本的に一般的なPMOと同じです。
PMOはプロジェクトマネージャー(PM)のサポート的なポジションで、工程管理をはじめとした開発スケジュールの管理や、リソースやコストの管理、プロジェクトの課題発見・解決、会議の進行、メンバーの勤怠管理など、管理や調整の役目を担います。
企業によってはプロジェクトの内部からPMの配下としてサポートにあたる場合と、プロジェクトの外部(別の部署やチーム)からPMと並列の立場でサポートに入る場合などの違いがあります。
1.2 フリーランスエンジニアの一日の流れ
こちらはPMOではありませんが、フリーランスでプロジェクトのマネジメントを担当している平木さんの一日のタイムスケジュールです。
平木さんは新卒で5年間SIerに勤務した後に、フリーランスエンジニアとして独立しました。上流エンジニアとしてのタスク作業をこなしつつ、顧客打ち合わせやプロジェクト進捗会議など、マネジメント業務を行っています。
勤務形態は出勤とテレワークが混在する環境ですが、出社時は会社員と大きな差はない働き方をしています。それほど急に働き方を変えたくないという場合は、会社員と近い働き方の案件を選ぶこともフリーランスには可能です。
出典:フリーランスエンジニアはプログラミングスキルが全てじゃない-前職で培った経験や知識が現場で重宝されています
2. フリーランスPMOの平均年収の目安
当サイト「プロエンジニア」に登録されている「PMO」の案件※1 を集計したところ、平均年収は約816万円でした。
なお月給の最低額は30万円から、最高額は120万円以上です。つまり自身のスキルや案件との相性にもよりますが、年収1000万円も十分に狙えます。
なお厚生労働省が発表する賃金構造基本統計調査(職種別)※2 によると、R4年度はシステムエンジニア(システムコンサルタント・設計者)の平均年収は約660万円、プログラマー(ソフトウェア作成者)の平均年収は約550万円です。
厳密な職種は異なりますが、多くのITエンジニアはフリーランスになることで平均年収アップが見込める状況にあります。
※1:2023年6月時点でプロエンジニアに登録されているフリーランス案件情報のうち、月額報酬の下限額および上限額が公開されている案件より、単価平均×12か月で年収平均を算出
※2:賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査にて公開されている職種別賃金のうち、「決まって支給する現金給与額」*12ヵ月分に「年間賞与その他特別給与額」を加えた値を算出
案件別に詳しい相場を知りたい方は、次のページをご覧ください。
▶ 参考:PMOの案件|フリーランス案件の特徴・単価・必要スキル
3. PMOがフリーランスとして独立するために必要な経験年数やスキル
フリーランスのPMOとして案件を獲得するために必要な経験年数は、中小企業などの実績が求められる案件では2年以上とされているケースが多数です。それに対して大手企業では、IT業界の経験年数が浅めでも営業や接客など顧客対応の経験があれば、PMOとして採用されるケースがあります。
またPMOに必要なスキルは、PMに似ているもののリーダーシップはそれほど必要ではなく、サポート力が重要という特徴があります。それらをふまえてフリーランスのPMOに必要なスキルを考えた場合、次の5つが挙げられます。
3.1 高いコミュニケーション能力
PMOはPMの補佐という立場ですが、PMだけでなく顧客や開発メンバーとも協力しながらプロジェクトを進めてゆく必要があります。そのため円滑なコミュニケーション能力は必須であり、情報の共有や折衝をスムーズに行うことが求められています。
またフリーランスの場合、プロジェクトが変わるたびに新たな人間関係を構築する必要があります。そのため新しい環境でもスムーズに意思疎通ができることも重要です。
3.2 プロジェクト管理知識
PMOの仕事を行うためには、プロジェクト管理知識が必要です。プロジェクトの計画、リソース管理、進捗管理など、複雑なタスクを能率的に管理できることが求められます。
3.3 文書作成能力
PMOは業務の性質上、様々なドキュメントを作成する必要があります。WordやExcel、PPTなどのツールを使いこなすスキルだけでなく、誰が読んでも分かりやすい文章構成力も重要となります。
3.4 営業・交渉力
これもコミュニケーション能力のひとつではありますが、PMOの業務に必要なだけでなく、フリーランスとしても案件獲得のために自分を売り込む営業力や交渉力が必要です。
3.5 自己管理能力
フリーランスの場合、働けない期間があれば、その間は無収入になります。健康に仕事を続けるためにも、自己管理が大切です。
4. 会社員からフリーランスPMOへ|独立までの手順
フリーランスのPMOになるまでの、一般的な手順をご紹介します。フリーランスになるまでの基本的な流れを把握する参考にしてください。
4.1 PMOに就職・転職する~PMOとして実務経験を積む
フリーランスのPMOになりたい場合、確実なのはPMOとして就職・転職することです。
ただIT企業に新卒で就職した場合、望んでPMOに配属されるというのは難しいかもしれません。
他のルートとしては、IT業界で営業職についていて顧客対応の経験が充分があるという方や、SEなどで上流工程を経験しつつリーダーとしてメンバーの管理経験がある方も、PMOとして採用されるケースがあります。
フリーランスのPMOになるためには様々なルートがありますので、自分に合った方法を探してみてください。
4.2 個人事業主になるための手続きをする~退職する
フリーランスとして得た収入が年間20万円を超えた場合、確定申告を行う必要があります。その際に「個人事業主」として開業しておけば、控除額の幅が大きい青色申告ができるようになります。
個人事業主になるには、市区町村の税務署に「開業届」の提出が必要です。個人事業主になれるのは専業のフリーランスだけではなく、副業でも開業することが可能です。収入が20万円を超えそうな場合は、早めに手続きを行っておいた方がお得です。
ちなみに初年度から事業の規模が大きくなることが明らかな場合、法人として登録した方が税金面で有利になるケースがあります。法人として起業する場合は、会社の設立登記を行います。
開業手続きについて詳しくは、フリーランスPMOの開業手続きチェックシート を参照してください。
専業フリーランスになる場合は、退職する前に早めの引継ぎを行っておきましょう。
副業の場合、退職の必要はありません。
4.3 フリーランスエージェントに登録する~案件に参画する
フリーランスが案件を探す方法はいくつかありますが、おすすめはフリーランスエージェントを利用する方法です。フリーランスPMOが案件を探す方法について詳しくは、フリーランスPMOの案件獲得方法3つを参照してください。
案件に応募して合格したら、いよいよクライアントと契約し、プロジェクトに参加します。契約を行う際には報酬や契約の期間を確認するだけでなく、特にテレワークの場合には働き方や納期、連絡方法などの詳細も、予めしっかり確認しておくことがおすすめです。
5. フリーランスPMOの開業手続きチェックシート
これから個人事業主として開業する方へ、2024年時点で必要な手続きをチェックシートにまとめました。
個人事業主として開業するには、納税地(住民票に記載されている住所)の税務署長に「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
年金についても、このタイミングで会社で加入していた厚生年金から、国民年金へ切り替える手続きを行います。
健康保険については、切替までに2年間の猶予があります。保険証の空白期間がないように、2年間のうち早めに切替を行っておきましょう。
開業手続きについてさらに詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
6. フリーランスPMOの案件獲得方法3つ
フリーランスのPMOが案件を探す方法として、次の3つが挙げられます。
フリーランスとして充分な人脈があれば、知人から紹介を受ける等でクライアントと直接契約して働くという方法があります。それが難しい場合は、クラウドソーシングサービスやフリーランスエージェントなどの仲介業者を通してクライアントを探す方法が一般的です。
クラウドソーシングサービスやフリーランスエージェントは、依頼したいクライアントと案件を探しているフリーランスのマッチングサービスです。両者は似ているように思えますが、次のような違いがあります。
• クラウドソーシングサービス
フリーランスが自分で案件を探し、クライアントと契約する場所を提供
• フリーランスエージェント
フリーランスが自分で案件を探すほか、条件に合った案件をエージェントが探すサービスを提供
副業の場合はクラウドソーシングサービスの方が多彩な案件を扱っていますが、専業の場合はフリーランスエージェントの利用がおすすめです。エージェントはフリーランス個々人の条件やスキルに合った案件を探して紹介してくれるだけでなく、単価交渉の代理や、事務処理なども代行してもらうことができます。
案件探しなどの雑務を省力化しPMO本来の業務に集中したいという方は、ぜひエージェントの利用を検討してみてください。
弊社サービス「プロエンジニア」では、フリーランスの方の独立支援のご相談も承ります。これまで支援した方の中には正社員時代のご相談から並走し、安心して独立していただいた実績もございます。
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7. フリーランスPMO のメリットとデメリット
PMOがフリーランスになった場合、次のようなメリットとデメリットが考えられます。
まずメリットとして、自分が受ける案件を自分で選ぶことができるという点が挙げられます。それにより、自分が興味のある仕事内容を選んでスキルを伸ばしたり、仕事しやすい相手を選ぶことができます。
またテレワークや時短勤務など、自分が働く時間や場所を選ぶこともできます。さらに会社員の場合は部署の業績などに影響されがちな収入も、自分のスキル次第で高額報酬を得られる案件を選ぶことが可能です。
対するデメリットとして、収入が不安定になるという点が挙げられます。フリーランスは怪我や病気などで働けなくなると、その間は無収入になります。さらに雇用保険など会社員であればあった社会保障が少ないため、自分で必要な備えを探して、加入しておく必要があります。
このように収入が安定しないことが理由で社会的信用が低下するため、フリーランスは会社員よりローンや賃貸の審査が通りにくくなります。またクレジットカードを作るのも難しくなる場合があります。家や車のローンを組んだり、クレジットカードを作る予定がある方は、退職前する前に忘れずに済ませておきましょう。
8. フリーランスPMOの市場動向と将来性
PMOは、プロジェクトマネージャーが対応しきれない部分のマネジメントを支援する案件が多い傾向にあります。
企業ごとに課題は異なっていますが、プロジェクトマネージャーのみでは対応しきれないプロジェクトも年々増加しています。そのため中規模から大規模の企業で、PMOの需要が拡大しています。ITの需要増が続く限り、今後もPMOの市場は拡大していくと考えられます。
▶ 参考:PMOフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル|プロエンジニア
特に現在20代後半から30代前半にかけてのミドルクラスの人材については、IT業界全体で需要の高い傾向が続いています。
詳しくは、「プロエンジニア」のキャリアコンサルタントと、未経験からITエンジニアを目指す「プログラマカレッジ」のキャリアアドバイザーによる、次の対談記事もご覧ください。
9. フリーランスPMOのキャリアパス
フリーランスのPMOに考えられるキャリアパスとして、PMOとして専門性を高めてゆくことの他に、プロジェクト管理知識を活かしてPMやITコンサルタントを目指す道もあります。
例えばPMOの経験で受注できるPMの案件としては、次のような案件があります。
出典:【PM/PMO】官公庁向けWANシステム更改プロジェクト管理支援|プロエンジニア
大規模案件、かつPMとPMOの経験者を同時に募集した上で「スキル、経験に応じて適正ポジションを検討可能」とされています。充分なPMO経験と意欲があれば、ポジションアップも可能です。
PMOも募集対象となっているITコンサルタント案件には、次のような案件があります。
出典:【PM/PMO/コンサル】ECサイト構築(発注側IT課題解決)支援|プロエンジニア
この案件では、PMOでも次の経験を満たしていれば、ITコンサルタント職として採用される可能性があります。
• コンシューマ向けWEBサイト要件定義経験
• 顧客側プロジェクトの予算管理経験
• 50人月以上のプロジェクトでPL経験
• コンサル業務(課題解決等)の経験あり
コンサルタントを目指す場合、特に課題解決の経験が重要になります。PMOとして案件を探す際にも、コンサルタント向きの経験が積める案件を重視しておくことがおすすめです。
10. よくある質問(FAQ)
フリーランスのPMOを目指している方に、よくある質問をまとめました。
Q: PMOは、どのぐらいの経験年数があればフリーランスになれますか?
大企業の場合、接客業や営業経験があるとIT業界の経験が少なくても(1ー2年)、キャッチアップ力なども期待されたうえで採用されるケースがあります。
中小企業の場合、PMOの責任範囲も広いため、わりとPMOとしての実績が求められる(経験2年以上など)ケースの割合が高いです。
Q: フリーランスPMOになるために、有利な資格はありますか?
PMO案件の受注に資格は必須ではありませんが、プロジェクトマネージャーに関する資格が有効です。 PMの資格としては、PMI日本支部が提供する「PMP」や、国家資格である「プロジェクトマネージャ試験」、英国政府も出資するAXELOSが提供する「ITILファンデーション」などが人気です。
11. まとめ
PMOがフリーランスになることのメリットは、やはり条件に合った案件を自分で選ぶことができるという点です。自分で選べるということは、高収入を目指せるだけではありません。弊社で支援した方の中には、フリーランス化で勤務時間を調整し、ボクサーのプロ試験に合格した方もいらっしゃいます。
この記事がフリーランスという働き方を考える、お手伝いになりましたら幸いです。
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