フリーランスデザイナーの年収は会社員デザイナーの平均年収よりも高いのか、比較するデータをご紹介します。またデザイナーがフリーランスになるために必要な経験年数やスキル、単価の相場、どうすれば単価が上がるのか、市場動向と将来性も解説します。
会社員Webデザイナーからフリーランスになった方へ実情を伺うインタビューも紹介していますので、ぜひご覧ください。
1. 会社員デザイナーとフリーランスデザイナーの年収を比較
会社員(フルタイム雇用者)デザイナーとフリーランスデザイナーの年収例を表にまとめると、次の通りです。
それぞれの数字の出典元を、詳しく紹介します。
1.1 会社員デザイナーの平均年収(厚労省調べ)
厚生労働省が発表する賃金構造基本統計調査(職種別)によると、2023年度の一般労働者(フルタイム雇用者)デザイナーの平均年収は約509万円※でした。
※:賃金構造基本統計調査 / 令和5年賃金構造基本統計調査にて公開されている一般労働者の職種別賃金のうち、「決まって支給する現金給与額」12か月分に「年間賞与その他特別給与額」を加えた値を算出
1.2 フリーランスデザイナーの平均年収(弊社調べ)
フリーランスについてはデザイナー全体のデータが見つからなかったので、当サイト「プロエンジニア」に2023年時点で登録されていた案件情報の集計を行いました。
するとフリーランスWebデザイナー案件の平均年収は、約660万円でした。さらにフリーランスUI/UXデザイナー案件の平均は792万円、フリーランスWebディレクター案件の平均は708万円ということが分かりました※。
このようにWeb系のフリーランスデザイナー職については、Webサイトやゲーム、アプリなどのUI/UXデザインができる人材に需要がある状況にあるようです。
※:2023年6月時点で、プロエンジニアに登録されているフリーランス案件情報について、それぞれ月額報酬の下限額および上限額が公開されている案件より、単価平均×12か月で年収平均を算出
2. 実際に、フリーランスデザイナーは年収いくら稼げば安心できる?
このように会社員に比べて額面の年収が高い傾向にあるフリーランスですが、定期昇給で年収が上がっていくということはありません。そのため昇給があり雇用も守られている正社員と同等の生涯年収(手取り)を稼ごうと考えると、単純計算で毎年年収720万円(月額単価60万円)程度が必要です。
計算方法など、詳しくは次の記事も参考にしてください。
3. 職種別、実際のフリーランスデザイナーの案件と年収
Webデザイナー案件の傾向として、近ごろ高単価の案件は「UI/UXデザインの経験」が必要な案件が多くなっています。そこで今回は、2024年8月時点でプロエンジニアに登録されているWebデザイナー案件のうち、Webデザイナー経験のみで最も高単価な案件をピックアップしました。すると単価は月額50万円(年収600万円)でした。
そこで年収600万円で募集されている案件を、職種別に比較してご紹介します。
3.1 年収600万円~|Webデザイナーの参考案件
出典:【Photoshop/Illustrator/業務委託】アパレル企業向けWeb/ECサイトのデザイン★ランディングページ制作経験者優遇!リモート可で月50万~
■ 必須スキル
• バナー、ランディングページの制作経験
• Photoshop/Illustratorを用いたデザイン経験
• アパレル系ECサイト運営の実務経験
• HTMLやCSSを用いた、ランディングページの制作経験がある方
Webデザイナー経験のみで年収600万円の案件では、バナーやランディングページの制作経験や、サイト運営の実務経験が求められています。業務内容は、新規案件ではなく運用デザインや運用ディレクションなど、運用メインとされています。
3.2 年収600万円~|UI/UXデザイナーの参考案件
出典:【UI/UXデザイナー】エンタメ企業におけるデザイン・データ作成
■ 必須スキル
• UX/UIデザインの実務経験2年以上
UI/UXデザイナーの案件は比較的高単価で安定しています。こちらの案件は月額50万円からですが、必須スキルが「UX/UI デザインの実務経験2年以上」のみです。ただしゲーム画面のUIデザインを主に行うため「ゲームの世界観に沿ったデザインができること」が求められます。求人に明示されていませんが、ポートフォリオが重要な案件です。
3.3 年収600万円~|Webディレクターの参考案件
出典:【Illustrator/Photoshop/業務委託】ライフスタイル支援サービスのデザイン・ディレクション★3年以上の経験者優遇!基本リモートで月50万~
■ 必須スキル
• ポートフォリオの提出
• グラフィックデザインの経験が3年以上ある方
• アートディレクション経験がある方
• 印刷物など制作に対する基礎知識がある方
• Adobe Illustrator/Adobe Photoshop
こちらの案件は、Webデザインに加えて、ディレクション業務を行う案件です。
デザインの経験が3年以上必要なほか、ディレクション経験や管理スキルが必要です。また求める人物像としてコミュニケーション能力が高いことが挙げられています。
3.4 年収600万円~|グラフィックデザイナーの参考案件
出典:【Photoshop/Illustrator】ゲームのクリエイター
■ 必須スキル
• ポートフォリオ ※作品重視
• イラスト制作の実務経験1年以上
• Photoshop、Illustratorの基本的な操作
こちらはオンラインゲームの制作会社による、グラフィックデザイナー(イラストレーター)募集の案件です、実務経験は1年以上と短く設定されていますが、ゲームのキャラクターイラストやコンセプトアートを担当する関係上、何よりもポートフォリオ(絵柄)が重視されます。経験年数よりも魅力あるキャラクターを描けることが重要です。
4. 目標の年収別、実際のフリーランスデザイナーの案件と年収
次に、Webデザイナーとそのキャリアアップ先の案件を、年収別に比較してご紹介します。年収によってどのように必須スキルが変化するのか、チェックしてみてください。
4.1 480万円~|Webデザイナーの参考案件
出典:【Photoshop/Illustrator/XD】Webデザイナー★HR企業でのデザイン
■ 必須スキル
• LPやサイトのデザイン経験2年ほど
• Adobe(Illustrator/Photoshop/XD)の実務経験
• 優先順位をつけながら業務を遂行できる方
年収480万円~で紹介するのは、LP/サイトデザインやバナーの作成を担当する案件です。2年ほどの経験が求められているほか、複数の作業を並行して進めることもあるため、優先順位をつけながら作業できることが条件となっています。
4.2 年収720万円~|UI/UXデザイナーの参考案件
出典:【UI/UXデザイナー】ヘルスケア業界向けSaaSを展開する企業でのデザイン業務
■ 必須スキル
• ポートフォリオの提出
• WebサービスのUI/UXデザインの3年以上の経験
• ユーザーコミュニケーションとデザインの意思決定経験
年収720万円~で紹介するのは、SaaSやWebサービスのプロダクトデザインを担当する案件です。ポートフォリオと3年以上のUI/UXデザイン経験だけでなく、ユーザーと対話してデザインの意思決定を行った経験が必要です。
4.3 年収840万円~|UI/UXデザイナーの参考案件
出典:【UIデザイナー/弊社実績多数】子供向け写真販売システム新規UIデザイン★1年以上の経験者優遇!リモート可で月70万~
■ 必須スキル
• Webデザイナーの実務経験
• UIデザインの経験1年以上
• Photoshop、AdobeXD、Sketchのいずれかを使いこなせる方
年収840万円~で紹介するのは、子ども向け写真販売システムの新規UIデザインを担当する案件です。必須スキルはWebデザイナーの実務経験のほか、UIデザイン1年以上と3つのツールからどれか1つ使いこなせること、というシンプルなものです。稼働も週3日以上、かつリモートワークも可能です。UIデザインに自信のある方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
4.4 840万円~|Webディレクターの参考案件
出典:【Webディレクター】大手ECサイトの改善ディレクション業務
■ 必須スキル
• Webディレクターとしての実務経験3年以上
• サイト分析(GA)の経験
• UIUX設計の経験
• パートナー、品質、制作進行の管理経験
年収840万円~で紹介するのは、大手ECサイトの改善ディレクション案件です。Webディレクターとして3年以上の実務経験に加えて、GAを用いたサイト分析やUI/UX設計、進行管理の経験が求められています。
4.5 600万円~|フロントエンドエンジニアの参考案件
出典:【JavaScript/HTML】フロントエンドエンジニア★有名コンテンツプロジェクト
■ 必須スキル
• JavaScript/HTMLでの実務経験3年以上
年収600万円から、参考までにフロントエンドエンジニアの案件をご紹介します。JavaScript/HTMLでの実務経験3年以上があれば応募することができます。
WebデザイナーからJavaScriptなどを使って実装するスキルを身につけ、フロントエンドエンジニアになる方は多数いらっしゃいます。フロントエンドエンジニアは年収1000万円を超える案件も多いので、プログラミングにも興味があるという方におすすめです。
5. フリーランスデザイナーが年収を上げる方法とキャリアパス
フリーランスのメリットの一つとして、副業や複業がやりやすいという点が挙げられます。単純に案件を掛け持ちすればするほど収入は増加しますが、休みがなくなるというデメリットがあります。
案件の掛け持ちに興味のある方は、次の記事も参考にしてみてください。
案件を増やす以外に収入を上げるポイントとしては、次の4つが挙げられます。
それぞれ詳しく紹介します。
5.1 ポートフォリオを見直す
デザイナーにとって最も重要なのは、デザインの力です。面接や営業の際に提示するポートフォリオの見栄えが受注を大きく左右するため、ぜひ定期的に見直しを行い、最新状態を保つようにしてください。
5.2 資格を取る
デザイナー向けの資格として、厚生労働省が実施する国家資格である「Webデザイン技能士」が挙げられます。合格にはデザインセンスや実務経験が必要という特徴があります。
ただしデザイナーは第一にデザインスキルが重要なので、無理に取得する必要はありません。始めたばかりで実績が足りなくて困っている人や、知識の棚卸しをしたい人におすすめです。
5.3 新しいスキルを身につける
例えばWebデザイナーであれば、UIデザインのスキルを身につけてUI/UXデザイナーに転身すると、単価がかなり上がります。
JavaScriptに興味がある場合は、デザインだけでなく実装もできるようにして、フロントエンドエンジニアに進むキャリアパスを選ぶこともできます。フロントエンドエンジニアにはとても高い需要がありますので、コーディングに抵抗のない方は、ぜひ挑戦してみてください。
5.4 ディレクターにキャリアアップする
ディレクションやマネジメントができるようになると、単価が上がります。例えばWebデザイナーの場合、サイト作りだけでなく分析やマーケティングのスキルを身につけるとよいでしょう。グラフィックデザイナーやUI/UXデザイナーも、やはりディレクションから一貫して対応できる人材は重宝されています。
6. デザイナーが独立することのメリットとデメリット
デザイナーが独立すると、次のようなメリットとデメリットがあります。
フリーランスとして独立するメリットとしてまず挙げられるのは、仕事を選ぶことができるという点です。働き方や収入などの条件面で選ぶだけでなく、自分が希望するスキルを伸ばして行けそうな案件なども選べるようになります。
逆にデメリットとして、保障がなく収入が不安定になることが挙げられます。収入が不安定になることで、クレジットカードの作成や、高額のローンを組む際に、会社員より審査で不利になります。家や車などの大きな買い物の予定がある方は、独立前にローンを組み終えておくことがおすすめです。なお一括での購入する場合は、全く問題ありません。
7. フリーランスのデザイナーになるには?求められるスキルや経験
デザイナーには様々な職種があり、求められるスキルはそれぞれ違います。今回は、常時8000件のフリーランス案件を扱うプロエンジニアにおいて、Webデザイナー、UI/UXデザイナー、ゲームグラフィックデザイナーそれぞれの案件で求められている条件を解説します。
7.1 フリーランスデザイナーに求められる実務経験はどのくらい?
技術がしっかりしていることをポートフォリオで示すことができれば、デザイナーは実務経験1年でも高単価の案件を受注することができます。特にキャラクターイラスト制作やサイトデザイン制作などは、経験が浅めでもデザインを気に入ってもらえたら受注可能という強みがあります。
7.2 フリーランスデザイナーに求められる専門スキルは?
フリーランスのデザイナーに求められる専門スキルについて、職種別にご紹介します。
7.2.1 フリーランスWebデザイナーに求められるスキル
WebサービスやWebアプリケーション開発の案件では、Webページのデザインスキルが必須です。特にプログラミングの仕組みを理解し「実装しやすいデザイン」を作ることができるデザイナーの需要が高まっています。加えて、「Figma」や「AdobeXD」などを使ってモックアップを作るスキルがあると重宝されます。
プロエンジニアで扱っている求人では、バナーやランディングページ、HTMLやCSSを用いたWebページの制作経験が求められています。
7.2.2 フリーランスUI/UXデザイナーに求められるスキル
Photoshopやillustratorなどを使った、Webデザインの基礎スキルは必須です。
加えて、顧客体験につながるようなデザインが作れること、要件をしっかり引き出すコミュニケーションが可能であることが求められます。
さらに、UI/UXの効果を体験できるモックアップを作るスキルがあると、重宝されます。
プロエンジニアで扱っている求人に応募するには、Webデザインの実務経験や、HTML/CSSコーディング経験があれば望ましいとされています。
7.2.3 フリーランスゲームグラフィックデザイナーに求められるスキル
ゲームグラフィックデザイナーには、基礎的なデッサン能力やデザイン知識のほか、ゲーム・エンタメ業界での実務経験が求められます。もちろん、キャラクター制作や背景制作など、案件に対応するポジションでの実務経験が必要です。
さらにPhotoshop、SAI、CLIP STUDIOなどの人気のツールを用いたイラスト制作経験を求められることがあります。
8.【2024】フリーランスデザイナーの市場動向と将来性
フリーランスデザイナーの市場について、常時8000件の案件を扱うプロエンジニアのエージェントに市場動向と将来性を聞いてみました。
8.1 フリーランスWebデザイナーの市場動向と将来性
Webサービスの需要は増加の一途であり、それに伴い既存のサイトの更新や保守の需要も高まっています。さらにWebサイトの見た目も以前より重視されるようになったことから、サイトをコーディングするエンジニアだけでなく、見た目を整えるデザイナーの需要も増加しています。
▶ Webデザイナーフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル
8.2 フリーランスUI/UXデザイナーの市場動向と将来性
Webサイトが日々増加を続けている中で、見た目の良いサイトを作ることに加えて、使い心地のよいインターフェースやユーザーがあっと驚くような体験ができるなど、他サービスとの差別化が求められています。それらをデザインできるUI/UXデザイナーの需要はさらに高まっており、またフリーランスとの相性も良いことから、今後も案件が豊富な状況が続くと予想されています。
▶ UI/UXデザイナーフリーランス案件の特徴・単価・必要スキル
8.3 フリーランスゲームグラフィックデザイナーの市場動向と将来性
スマートフォンの普及により、かつてゲームといえばコンシューマー機のみだった頃と比べて、格段に需要が増加しています。今後もスマートフォンで動作するゲームは増加すると予想され、グラフィックデザイナーの需要は今後も続くと考えられています。
9. 会社員からフリーランスに転身した方の体験談
会社員Webデザイナーからフリーランスのフルスタックエンジニアに転身した、武田さんの体験談をご紹介します。
【Q】フリーランスに転身したのはなぜですか?
(中略)仕事自体にはやりがいを感じていましたが、似通った内容の業務が多かったため、下積みができ次第、独立しようと考えるようになりました。
Webデザインだけでなく、サーバーサイドやマーケティングのスキルも身につけていきたいと考えていたので、独立すれば1つの会社に縛られることなく、多くの経験や技術に触れることができるのが魅力でした。引用元:1つの技術に特化し、案件先で大きな実績を挙げたことで、理想の働き方を実現。現在はサポートが充実していて、マージン率が公開されているプロエンジニアのおかげで快適に働けています|プロエンジニア
10. まとめ
フリーランスには定期昇給や雇用保険などがないため、万一の対策は自分で用意しなければなりません。その代わり、会社員とフリーランスが同じ内容の業務をこなす場合、会社員よりフリーランスの方が年収が高くなる傾向にあります。
フリーランスになって成功するコツは、なぜ自分はフリーランスになりたいのか、明確な目的を持って独立することです。本記事が、これからフリーランスを目指す方の一助になれば幸いです。
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