フリーランスは多様な働き方ができるのがメリットですが、フリーランスになる理由が「会社員より自由だから」「会社員より稼げそうだから」では、想像と違っていてすぐに辞めてしまう人も多いようです。
加えて「フリーランスは廃業率が高いから、やめたほうがいい」「フリーランスがそもそも増えすぎているから、やめたほうがいい」という声もあります。
この記事では「本当にフリーランスとして独立するのはやめたほうがいいのか」と、逆にフリーランスとして成功している人の成功要因をご紹介します。
1. フリーランスはやめたほうがいい?市場動向の噂を調査
フリーランスは次のような市場動向から、やめたほうがいいと言われているようです。
その根拠とされているデータの、最新情報を調査しました。
1.1 フリーランスは廃業率が高いから、やめたほうがいい
中小企業庁が発表した「2005年度における中小企業の動向」を引用し、個人事業所の1年以内の廃業率が4割近いので「フリーランスは廃業率が高い」と言われることがあります。ただしこのデータで使われている「個人事業所」は「同統計の設計上、集計対象は製造業に限られ、また従業者4人以上の事業所に限定されていることに留意が必要」と注意書きが添えられています。つまり飲食店のような業態のデータであり、かつ20年近く古いデータのため、多くの方がイメージする「フリーランス」にも適用されると考えるには注意が必要です。
1.2 フリーランスが増えすぎているから、やめたほうがいい
日本最大級のクラウドソーシングサイトである「ランサーズ」の調査によると、調査開始の2015年からフリーランス人口は年々増加しています。近年の働き方改革から外出自粛の流れにより、フリーランスが増えているのは確かであるようです。
引用元:『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』発表|ランサーズ
なお同調査によると「日本のフリーランス人口は全国民の24%」とされていますが、この数字には副業のフリーランスが含まれています。このように「副業の範囲でできる仕事」や「誰でもできる仕事」は争奪戦状態になっているのが現状です。
ただ、例えばITエンジニアはまだ不足しています。専業のフリーランスを目指す場合、自分がなりたい職種の市場を見極めることが重要です。
2. フリーランスはやめたほうがいいと言われる10の理由と解決策
ここからは「フリーランスはやめとけ」と言われる理由を、実際にフリーランスをしている人が感じやすい不安や不満をもとに10個ご紹介します。
2.1 フリーランスは皆がイメージしているほど自由ではないから
「フリーランス」といえば、クリエイター職のように一人で作業して完成品を納品する職種のイメージをお持ちの方もいるのでは。フリーランスといえば働く場所や時間がとても自由なイメージが出来上がっています。
しかしエンジニア職などチームで作業する職種の場合、メンバーとの連携やセキュリティ面の制約などがあるので、それほど自由ではない案件も多いのが現実です。
❗解決策
スキルを高めて一人でできる仕事が増えると、リモート勤務など自由な働き方ができる案件を受注できる可能性が高まります。
2.2 フリーランスは思ったほど稼げないから
内閣官房が発表した「令和4年度フリーランス実態調査結果」によると、回答者2119名のうち直近1年間の収入が500万円未満が1305人、500万円以上が467人、「答えたくない」が347名でした。
一方で国税庁が発表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、正社員の平均年収は523万円です。全労働者の統計を取ったわけではありませんが、フリーランス収入のみで正社員の平均より稼ぐのは難しい可能性があります。
出典:令和4年度フリーランス実態調査結果|内閣官房
令和4年分 民間給与実態統計調査|国税庁
❗解決策
まとまった収入が得られるかは、スキルや職種による影響が大きいのが現実です。まずは副業から始めて、市場の様子をうかがってみましょう。
2.3 体調不良などで働けなくなると、収入がなくなってしまうから
各種の保障に自動的に加入する正社員とは違い、フリーランスは体調不良やその他の事情で働けない期間は無収入になってしまいます。
❗解決策
収入を補うタイプの医療保険もあるので、あらかじめ加入しておくと安心です。また個人事業主向けの補助金や、収入減少による年金の免除制度などもあるので、活用してください。
2.4 年齢を重ねると、仕事が減ってしまうから
年々仕事が減ってしまうケースの多くは年齢のせいではなく、コモディティ化したスキルに需要がなくなってしまい、受けられる案件が減少してしまうことが原因です。
❗解決策
新しいスキルを身に付けたり、この分野では誰にも負けないと言えるスキルを身につけていくことが大事です。
なお内閣官房が発表した「令和4年度フリーランス実態調査結果」によると、回答者2119名のうち最も多かったのは50代で4割、次いで60代が3割という状況でした。
この調査が中高年層に届きやすいところで行われた可能性はありますが、実際に中高年層もフリーランスとして活躍していることが分かります。
2.5 先輩などのサポートが受けられず、自走できるスキルが必要だから
多くのフリーランス案件では即戦力が求められるので、一人で自立して作業できる高いスキルが必要です。しかも困った時に相談できる相手も限られています。
❗解決策
現場常駐で作業する場合は、チームメンバーに相談してフォローを受けることができます。慣れないうちはリモートを避けるようにすると安心です。
2.6 スキルアップするための講習費用などを自分で出す必要があるから
会社員であれば、上司が必要だと判断したスキルの講習を会社の経費で業務時間内に受けることができます。しかしフリーランスは、休日に自費で受ける必要があります。
❗解決策
フリーランス向けのコミュニティや勉強会などを活用することで、スキルアップや人脈作りに役立ちます。
2.7 税金や保険などの事務手続きを、自分でやる必要があるから
会社員ならば総務がやってくれていた事務処理を、フリーランスは自分でやる必要があります。確定申告や請求書の発行など、本来の業務以外の作業が発生します。
❗解決策
税金の処理は、税理士などの代行業者に依頼することができます。請求書などの発行は、フリーランスエージェントが代行しているところもあります。
2.8 自分の仕事は自分で営業して取りに行く必要があるから
フリーランスは自分で仕事を探し、さらに新しい案件を受注するたびに面接等で自分を売り込む必要があります。さらに膨大な数の案件から、自分に最適な案件を探す時間もかかります。
❗解決策
フリーランスエージェントの中には、希望する条件やスキルを伝えると、代わりに最適な案件を探して提案してくれるところがあります。スキルシートのチェックや、売り込みを手伝ってくれる場合もあります。
2.9 トラブルが発生したら自分で交渉して解決する必要があるから
クライアントとトラブルになった場合には、こじれないように自分で解決する必要があります。大きなトラブルでなくても、例えば「作業が予定より遅れたので納品を延期してもらう」などの交渉が自分でできる必要があります。
❗解決策
エージェントを利用していれば、万一の場合は間に入ってもらうことができます。ほか、エージェントは単価アップの交渉なども代行してくれる場合があります。
2.10 会社員以上に自己管理が必要だから
体調の自己管理を怠ると収入を失ってしまうだけでなく、日々の作業の進捗管理も、自分できっちりと行う必要があります。
❗解決策
子どもの頃に宿題を先延ばしにしがちだったタイプは注意が必要です。スケジュール管理アプリなどを活用し、「予定を全てリストに書き出して、こまめに完了したかチェックする」ことを意識してみてください。
3. 会社員と比べた場合、フリーランスのデメリット3つ
会社員と専業フリーランスを比べた場合の具体的なデメリットを、改めて整理しました。
3.1 収入が不安定になり、お金の面で社会的信用が低下する
フリーランスは一般的に収入が不安定だと考えられています。一時的に収入が多いとしても、クライアント企業からフリーランサーへの発注はいつ止まってしまうか不透明なためです。
そのため、ローンや賃貸、カード作成の審査において、会社員より不利になります。
❗解決策
家や車など大型のローンを組む予定がある方は、会社員のうちに済ませてから退職することがおすすめです。
3.2 会社員より保障や保険が少ない
会社員は厚生年金や失業保険に自動的に加入し、支払いの一部を会社が負担してくれています。さらに病気等で休職した期間も、会社員ならば給与の一部に保障があります。しかしフリーランスにはありません。
❗解決策
自分に必要な保険を選んで、加入しておくことがおすすめです。
3.3 労働基準法で保護されないので、過重労働になりがち
フリーランスは労働基準法の適用対象外です。そのため働きたいと思えば会社員以上に働くこともできます。その反面、働きすぎていても法律で止めてもらうことができません。
❗解決策
規則正しい生活を意識して、まだ大丈夫だと思っても作業を切り上げるように気をつけてください。
4. デメリットだけじゃない?フリーランスのメリット3つ
とはいえ、フリーランスにはデメリットだけではありません。会社員と専業フリーランスを比べた場合のメリットも紹介します。
4.1 案件を自分で選べるので、身につけるスキルを選ぶことができる
例えば「最新の言語でバリバリ開発したかったのに、古いシステムを保守するチームに配属されてしまった」など、会社員は不満があっても与えられたポジションで仕事をしなければなりません。しかしフリーランスであれば、自分で経験するスキルを選ぶことができます。
⚠ 注意点
新しいスキルは自分で勉強して身に付ける必要があります。
4.2 自分の努力次第で高額報酬を得ることができる
会社員はいくら自分の仕事が評価されても、部署全体が業績不振であればボーナスが減ることも多々あります。しかしフリーランスなら、自分の仕事の評価が報酬に直結しやすいというメリットがあります。
⚠ 注意点
年齢が上がっても自動的に単価は上がらないので、努力をしないでいると、むしろ単価が下がってしまうことも。
4.3 人間関係が流動的なので、相性の悪い人がいてもあまり悩まずにすむ
フリーランスであれば、案件が変われば人間関係がリセットされます。もしチームに苦手な人がいても、期間限定だと思えばあまり悩まずに対応できることもメリットです。
⚠ 注意点
人見知りで新しい人間関係に慣れるまで時間がかかるタイプの人は、短期間でのリセットがストレスに感じる可能性があります。
5. 結局、自分はフリーランスになるのはやめた方が良い?チャレンジすべき?
フリーランスにも会社員にもメリットとデメリットがあり、それぞれ向いている人が異なります。そこで「フリーランスで成功する人」と「フリーランスに向かない人」のチェックリストを作成してみました。どちらのチェックが多いか、判断の参考にしてみてください。
5.1 フリーランスで成功する人の特徴チェックリスト
5.2 フリーランスに向かない人の特徴チェックリスト
6. フリーランスになって成功している人の独立理由と体験談
実際にフリーランスとして成功している方の多くは、目的を持って独立しています。ここではフリーランスになった目的別に、実際にフリーランスエンジニアとして活躍している方のインタビューを紹介します。
6.1 収入を増やすため
6.2 家族と過ごす時間を増やすため
6.3 プロ試験に合格する夢と両立するため
6.4 最先端のスキルに携わるため(オンプレミス⇒クラウド)
6.5 最先端のスキルに携わるため(組み込み系⇒データサイエンス)
6.6 いずれ自分で1からサービスを開発する夢を叶えるため
7. フリーランスになるのが不安な方へ、よくある質問
「フリーランスになりたいけれど、まだ不安がある…」という方へ、よくある質問にお答えします。
7.1 本当にフリーランスで食べていくことはできるのでしょうか?
職種やスキルレベルによりますが、例えばクラウドソーシングで募集されている案件は副業向けが多いので、それだけで食べて行くのは難しい状況です。専業のフリーランスを目指す場合は、フリーランスエージェントでの案件探しがおすすめです。
7.2 初めての案件に、自分のレベルに見合った案件が見つかるか不安です
初めての案件探しはレベル感の見極めが難しく、無事に仕事をこなせるのか等の不安も多いかと思います。その場合はエージェントに「これまでの業務の経歴」や「希望する条件」を相談すると、見極めを手伝ってもらうことができます。
まだ相談するのはちょっと…という方は、プロエンジニアのエージェントによる以下の記事も参考にしてみてください。Ruby案件を例にしていますが、多くのエンジニア案件に共通する部分もあります。
弊社サービス「プロエンジニア」では、フリーランスになりたい方の独立支援のご相談も承ります。これまで支援した方の中には正社員時代のご相談から並走し、安心して独立していただいた実績もございます。
▶ 独立支援も無料で承っています。ぜひお気軽にご相談ください。
7.3 フリーランスになりたいですが、未経験でも独立できますか?
フリーランスを名乗ることはできますが、専業で食べて行くのは難しいのが現状です。特に経験が浅いうちは、経験年数よりも経験内容が重要になります。
詳しくはプロエンジニアのエージェントによる、以下の記事も参考にしてみてください。
7.4 一人で仕事をしていると、挫折しないか心配です
フリーランス案件はリモートだけでなく、オフィスの中で作業する常駐型の案件もあります。チームメンバーと共に作業する案件ならば周囲のフォローアップを受けられるので、一人での作業が不安な方におすすめです。
7.5 将来が不安です。40歳を過ぎても仕事はありますか?
フリーランスを長く続けるためには、需要のあるスキルを身につけていくことが重要です。
実際にフリーランスを23年続けている方にコツをインタビューしましたので、ご紹介します。
7.6 フリーランスをやめたくなった場合、正社員に戻ることはできますか?
フリーランスから正社員への再就職は、通常の転職活動とほとんど変わりません。職務経歴がしっかりしていることが重要なので、作業した内容やクライアントなどは細かく記録しておきましょう。
またフリーランスとして仕事をしたクライアントからスカウトを受けて、そのまま正社員になる人も数多く存在します。この職場は自分に合っているなと感じたら、中途入社の募集はないかクライアントに打診してみるのも一つの方法です。
8. まとめ
自由というイメージが先行しがちなフリーランスですが、自由には自己責任が伴います。様々なリスクを確認した上で、それでも目的があるという方は、ぜひチャレンジしてみてください。
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