AI分野に強い開発言語として一躍有名になったPython。AI分野の開発に携わるAIエンジニアにもPythonのスキルが必要とされるようになり、さらに、Pythonは幅広い分野に利用できることで注目度が増し、需要が伸び、今後も様々な業種での活用が期待されています。
そこで、本記事では、Pythonの求人でよくみられる案件の業務内容や相場単価、必要スキル、今後の動向などについて調査してみました。
1. 人気を集めるPythonの絶対的強み
近年、トレンドのプログラミング言語といえばPythonを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。AI分野の技術進化に伴い知名度が上がり、国内での人気も急上昇しています。
そんなPythonならではの強みをいくつかおさえておきましょう。
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AI分野の開発における主役言語
Pythonの大きな強みのひとつは、他のプログラミング言語と比較しても圧倒的に、AI開発・機械学習・IoTなどに必要な数値解析や機械学習ライブラリが充実していることです。世界中のエンジニアや研究者がAIシステム開発や機械学習にPythonを使っています。 -
幅広い分野・業種で使われる
オープンソースのPythonは誰でも利用でき、シンプルな文法・高い可読性・様々な開発環境に対応できる柔軟性など、その汎用性の高さから、AI分野にとどまらず、Webアプリケーション開発、統計・分析システム、ゲーム開発などに広く採用されています。 -
多くのタスクをサポートする強力なライブラリやフレームワークが充実
Pythonには、AI分野に強い外部ライブラリをはじめとし、様々な機能を実現するためのフレームワークやライブラリが豊富です。それらの活用により効率の良い開発が可能となっています。
これらの強みからも、Pythonでできることの幅は広く、今後も様々な分野での活用が期待されていることがわかります。
Pythonについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
2. Python案件 ~主な業務内容は?~
ではPythonの求人にはどのような案件があるのでしょうか。実際の案件によく見られる業務内容を挙げながら説明していきます。
2.1 Webシステム・アプリケーション開発案件
Webエンジニア向けのWebアプリケーション開発案件はPython案件の中でも特に多くみられます。
様々なWebサービスに紐づくアプリケーションやシステム開発はもちろん、クラウドベースのプラットフォーム開発案件や、元々は他の言語で作られたシステムをPythonへリプレイスする案件もあります。
◆ 参考案件
【Python】サーバーサイドエンジニア★EnergyTech向け自社クラウドプラットフォーム開発
【PHP/TypeScript/Python3】Webエンジニア ★マーケティングプラットフォームの開発
※データ参照元:Python関連の最新フリーランス案件/プロエンジニア
2.2 データ分析・解析案件
Pythonを使ったデータ分析・解析の案件は、IT業界はもちろん、医療、製造、不動産、金融業界(フィンテックベンチャー企業など)の幅広い業界でみられます。
業務内容には、企業が持つビッグデータの分析や解析、Pythonでのデータ加工/集計/分析などがあり、数値解析ライブラリの知識やスキルが活かせます。
◆ 参考案件
【Python】システムエンジニア★エネルギー会社比較サービスの分析開発
※データ参照元:Python関連の最新フリーランス案件/プロエンジニア
2.3 AI・機械学習案件
Pythonを活用したAI・機械学習案件は、医療・農業・ナビゲーションシステム・IoT関連などの分野でも広がっており、AI関連業務の需要は急速に拡大しています。
業務内容には、顧客の課題にあわせたAIや機械学習を利用したソリューションの提案やAIシステム開発、また、画像認識や音声認識、機械学習や自然言語処理に関する技術を用いたサービスの開発や機能改善業務などがあります。
◆ 参考案件
【Python】システムエンジニア★人工知能や機械学習を利用したソリューションの提案・開発
※データ参照元:Python関連の最新フリーランス案件/プロエンジニア
2.4 ゲーム開発案件
Pythonのゲーム開発案件には、特にスマートフォンやタブレット向けのゲーム開発が多くみられます。
RPG、コンシューマーゲーム、ソーシャルゲーム、オンラインゲームなど様々なジャンルのゲーム開発に使われています。
◆ 参考案件
【Unity(C#)/Python】ソーシャルゲーム開発エンジニア★ゲーム・パチンコ好きの方
※データ参照元:Python関連の最新フリーランス案件/プロエンジニア
Pythonの活用事例についてはこちらの記事で紹介しています。
3. Python案件 ~相場単価はけっこう高め~
Python案件には様々な種類がありますが、相場単価としては他のプログラミング言語に比べても高い傾向にあります。
◆ フリーランス向けのPython案件は単価が高め
プロエンジニアのPython案件(フリーランス)の場合、月単価は60~100万円。
※データ参照元:Python関連の最新フリーランス案件情報(2020年5月現在)/プロエンジニア
単価が高いプログラミング言語の調査でもPythonは1位です。
※データ参照元:稼げる!単価が高いプログラミング言語はズバリこれ!
Pythonの経験年数やPython以外に必要なスキルをどれくらい持ち合わせているかによって単価の幅も変わってきますが、単価は高めであると言えるでしょう。
◆ Python以外のスキルも求められる高単価案件が多い
【実際の案件例】
※参照元:Python案件(プロエンジニア)
例えば、このような高単価のPython案件には、Pythonの開発経験以外にも、人口知能に関する知見や統計学・機械学習・数学の知識など様々なスキルや経験が求められます。
◆ Pythonエンジニアの人材不足により単価が高めである
近年増加するPythonの需要に対して、必要なスキルを持つ人材が少なく単価が上がる傾向にあります。
こちらの記事も参考にしてみてください。
4. Python案件 ~未経験だと難しい!?~
Pythonの実務未経験者であってもPython案件に就くことは可能なのでしょうか?
実際、Pythonの求人では、Pythonの実務経験が求められるケースが多くみられます。
しかし、Pythonの実務経験がなくても、他の言語やフレームワークを用いた開発の実務経験、AWSやGCPなどクラウド周りのスキルや経験、ビッグデータの分析・解析経験などの知識は大いに役立ちます。
Pythonの基礎的な知識やスキルを身に着けた上でこれまでの経験をアピールすると良いでしょう。
また、開発経験そのものが少ない場合には、自分でポートフォリオを作成しGitHubで公開するなどしてPythonを用いたスキルを示すことで案件を獲得できる可能性もあります。
5. Python案件 ~高単価案件を狙うための必要スキルとは~
前述したように、Pythonの案件にはPython以外のスキルを要するものも多く、より高単価の案件を獲得するためにはなおさらPythonの応用力とPython以外のスキルも身に着けることをおすすめします。
5.1 Webシステム・アプリケーションの開発経験
Python以外の言語であっても、Webシステムやアプリケーションの開発経験はプラスになります。
一通りの開発の流れや工程を理解しており、Pythonでも同様にこれまでの開発経験が活かせるでしょう。
5.2 AI分野やデータ分析・解析スキル
AI関連やデータ分析・解析の案件には、数値解析ライブラリや分析ライブラリの知識、SQLによるデータ集計などの知識が必須です。
データ分析のための統計・機械学習・自然言語処理などの知見を備えているエンジニアはまだまだ少ないため重宝され、高単価の案件を獲得できる可能性が高いでしょう。
5.3 インフラ・クラウド関連の知識とスキル
環境構築、インフラの運用・保守などの知識や経験も大いに役立ちます。
特に、クラウド時代と言われる現在は、クラウド移行する企業での業務やクラウド環境での業務も多いため、インフラの知識や経験が活かせます。
さらにAWSをはじめとするパブリッククラウド関連の知識や実務経験があればかなりの強みになるでしょう。
5.4 Pythonのライブラリやフレームワークを扱うスキル
Pythonの特徴ともいえる豊富なライブラリやフレームワークをいかに使いこなせるかによって獲得できる案件も変わってくると言えます。
Webアプリケーション開発ならDjangoやFlaskなどのWebフレームワークの知識を持ち、実際に成果物を作成できるくらいのスキルがあると良いでしょう。
また、AI関連の案件であれば、数値解析・統計ライブラリなどの知識やスキルが有効です。
6. Python案件 ~需要と今後の動向は~
ここではPython案件の需要と今後の動向をみてみましょう。
◆ 案件数はそこまで多くないがPythonエンジニアは不足
プロエンジニアのプログラミング言語別案件数トップ3のデータから、フリーランスエンジニア向けの案件数で見ると、1位Java、2位PHP、3位JavaScript。これらの3言語は国内において長年実績を残してきた言語であり、現在も広く普及しています。
Python案件数はこれらの言語に比べると少ないですが、Python案件には様々なスキルが求められることが多いため、Pythonを扱えるエンジニアが少ないのが現状です。
◆ AI分野・ビッグデータ分析や解析の市場の拡大に伴うPython案件の需要増加
CodingDojoの調査によると、多くの米国のユニコーン企業がPythonを採用しています。
ゲーム開発、Web開発、特にデータサイエンス、機械学習においてのPython人気が急上昇しており、ユニコーン企業のような評価の高いスタートアップ企業でもPythonが広く利用されるようになっています。
今後、国内でもこのように様々な分野でのPython活用が広がると考えられており、実際に、国内AI市場規模は2018~2023年度の平均成長率は26.5%で推移すると予測されています。
※参照元:調査会社アイ・ティ・アールによる国内AI市場規模の予測
7. まとめ
実際のPythonの求人をもとに、Pythonのスキルが活かせる案件の業務内容や必要スキル、単価、今後の案件動向などについてみてきました。
変化の激しいIT業界の中でも、幅広い分野の開発に活用できるPythonを扱えるエンジニアの需要は安定的に伸びており、案件も増加傾向にある中、需要に対する人材不足でPythonの知識やスキルを実務に活かせるエンジニアは重宝されます。
現在持っているスキルにプラスして、PythonとPythonが活かせるその他の知識やスキルに目を向け、エンジニアとしてのキャリアアップにつなげてみてはいかがでしょうか。