未経験からインフラエンジニアに転職したい方へ向けて、インフラエンジニアのキャリアパスについて解説します。
IT社会を支えるインフラエンジニアの仕事は、IT技術者として身につけておきたい基礎知識を万遍なく身につけることができます。
1.インフラエンジニアとは
インフラエンジニアは、ITインフラの設計・構築・運用保守を担当するエンジニアです。
ITインフラには、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器、ハードウェア、OS、ミドルウェアからなる各種サーバー、ストレージなど多岐に渡ります。 インフラエンジニアは、ネットワークエンジニア、またはサーバーエンジニアと呼ばれることもあり、Webサイトやアプリケーションを利用できるようにするためのIT基盤を整えるのが仕事です。
ユーザーがサービスを利用する際、ITインフラについてはあまり意識をしない人がほとんどです。しかし、ITインフラはアプリケーションが安定稼働するためには必要不可欠のため、インフラエンジニアはIT社会において『縁の下の力持ち』とも言われています。
インフラエンジニアについては、以下の記事でも紹介していますので、こちらも合わせて参考にしてください。
2.未経験からインフラエンジニアへのキャリアパス
未経験からインフラエンジニアに従事する場合の、一般的なキャリアパスについて解説します。
2.1 ITインフラの監視業務
まずは、ネットワークやサーバーの監視業務です。
監視業務とは、ネットワークやサーバーを24時間365日、専用の監視ソフトを用いて常に監視し、機器の異常や回線障害が起きた際に、保守員と連携を取って故障対応をする仕事です。
監視業務では夜勤が発生することもあり、体力的な部分で敬遠されることもありますが、シフトを組んだ交代制など、企業により勤務形態は異なってきます。監視業務はインフラエンジニアの第一歩として挙げられることが多いですが、ネットワーク全体を俯瞰して故障対応を行うため、決して簡単な業務ではありません。
基礎からしっかりとした知識を身につけ、ネットワークやサーバーに対する幅広い知識が必要となります。
2.2 ヘルプデスク
続いて、ヘルプデスク(サポート業務)です。
システムに関するユーザーからの質問対応、コールセンターでの受付、社内エンジニアへのテクニカルサポートなど、ITに関する様々な問い合わせ窓口としての業務を行います。
未経験からの場合は簡単な業務サポートから始め、スキルに応じて業務内容も変わってきます。ベテランともなれば、コミュニケーションスキル、扱う製品に対して精通していること、問題解決能力など、求められるスキルも高度なものとなります。
2.3 ITインフラの運用保守
監視業務やヘルプデスクは、運用フェーズの一部とも言えますが、ITインフラの運用保守を専門に扱う企業もあります。
■ 運用保守フェーズの主な仕事内容
・システム更改
・パッチ、アップデートの適用
・ITインフラ機器の設定管理
・ユーザーアカウント、パスワードの管理
・データバックアップ
・証明書管理
・障害対応、および故障機器交換
など
SEやプログラマーが実装したシステムは、サービスインしたら終わりではなく、上記のようなシステム運用が欠かせません。システムのライフサイクルでは、目に見える部分である「開発」に重きを置きがちですが、実は「運用保守」も重要なフェーズを担っています。
2.4 ITインフラの設計構築
続いては、ITインフラの設計およびネットワーク構築です。
顧客との要件定義に始まり、仕様や技術決定、機器の選定、ネットワーク構成やセキュリティ面の検討、基本設計書や詳細設計書の作成などを行います。
ITインフラについても、構築したら終わりではありません。インフラの運用保守とも連携を図りながら、保守性も考慮した設計構築を行う必要があります。
一般的に、設計構築業務はインフラエンジニアの上流工程として位置づけられており、運用保守を経験したのちに構築業務にチャレンジ、その後設計業務へ…とステップアップしていきます。
3.インフラエンジニアからのキャリアパス
では、インフラエンジニアとして業務経験を積んだ後のキャリアパスについて解説します。
3.1 ITスペシャリスト
専門職としてある分野において高いスキルを持つエンジニアがITスペシャリストです。
インフラ関連のエキスパートとして、データベースエンジニアやネットワークエンジニアを目指したり、インフラの専門企業に属したり、技術力を武器にフリーランスとして独立したりなど、様々な働き方が挙げられます。
マネジメントや経営戦略を行うというよりは、テクニカルな部分を追い求めたい技術志向のエンジニア向きと言えるでしょう。
また、インフラのクラウド化が進む現在、ITインフラの知識のほか、仮想化技術をはじめとしたクラウドサービスのスキルも身につけておきたいところです。変化の早いIT業界でスペシャリストを目指すには、好奇心はもとより、技術が好きという気持ちが大切です。
3.2 プロジェクトマネージャー
次のステップとして考えられるのが、プロジェクトマネージャーです。
顧客との打ち合わせをはじめ、要件定義の作成、作業工数の見積もりや、仕様変更時における納期やメンバーの調整など、プロジェクトのあらゆる面における意思決定を行う責任者となります。
自分で手を動かす設計構築や監視業務とは異なり、プロジェクトマネージャーはエンジニアを統率し、プロジェクト全般をマネジメントするのが主な仕事です。
3.3 ITアーキテクト
ITアーキテクトは、企業の経営戦略や問題点に対して、技術の視点からシステムの設計を行うエンジニアです。
業務システム更改の検討をはじめ、企業の状況に応じたシステムを立案・設計するには、要件定義から開発手法、運用保守に至るまで、幅広い知識と高度な技術力が求められます。
関連記事: システム開発の中軸となるITアーキテクトとは?
3.4 ITコンサルタント
ITコンサルタントは、ITや経営の視点から、顧客が抱えている問題点を洗い出し、課題解決へ導くエンジニアです。
幅広い知見に加えて、極めて高いITスキル、コミュニケーションスキルなどが必要とされます。
ITアーキテクトやITコンサルタントは、業務経験が豊富な人材が務めることが多く、上流工程の人材が圧倒的に不足しているIT業界では、市場価値の高い職種とも言えます。
4.プログラマーやシステムエンジニアへの道も
インフラエンジニアからキャリアをスタートして、プログラマーやシステムエンジニア、Webエンジニアやデザイナーなど、他の職種にジョブチェンジする道もあります。
インフラエンジニアは、20代や第二新卒であれば、未経験OKや、学歴を問わない募集も存在しますので、手に職をつけたい人や、異業種からIT業界に転職したい方にもおすすめです。
なかには、基本情報処技術者試験やLinuC、CCNAなどの資格取得をバックアップする研修制度が整っている企業もあります。
インフラエンジニアの勉強においては、参考書や問題集での学習に加えて、サーバーやネットワーク機器などの実機環境を用いた「実践」がスキルアップへの近道となります。スクール等も活用しながら、ご自分に合った学習法を探してみてください。
5.まとめ
キャリアを積み重ねる過程では、必ず振り返りを行い、自分の希望や状況に応じてキャリアパスを組みなおすことが大切です。
5年後、10年後どのような働き方を望むかを考えて、自分だけのキャリパスを見つけてみてください。