これからインフラエンジニアを目指す方へ向けて、インフラエンジニアの将来について解説します。
急速な技術進歩に対応できるスキルを身につけておくには、将来を見据えたキャリアパスを立てることが大切です。
1.インフラエンジニアとは
インフラエンジニアは、ITインフラの設計、構築、運用、保守を行うエンジニアです。
プログラマーやSEが開発したWebサイトやアプリケーションは、それだけでは利用することができません。
それらをインターネット上に公開し、利用できるようにするためには、ネットワークやストレージ、ハードウェア、OS、ミドルウェアからなる各種サーバーなどのIT基盤が必要となります。
インフラエンジニアは、このIT基盤部分の業務を担当するエンジニアです。
インフラエンジニアについては、以下の記事でも紹介していますので、こちらも合わせて参考にしてください。
2.インフラエンジニアの将来
未経験からOKで募集されることも多いインフラエンジニアですが、現在はインフラのクラウド化が進む中で、インフラエンジニアの仕事内容や必要とされるスキルも変化しつつあります。
2.1 これまではオンプレミス構築が主流
これまでのインフラエンジニアの業務は、オンプレミスが主流でした。
オンプレミスとは、物理的なインフラ機器を自社(またはサーバールーム)で運用管理する手法です。
システム要件を満たすネットワーク機器の選定では、機種の違いによるスペックや設定方法について、その都度、比較検討する必要がありました。
また、システムのライフサイクルは5年とも言われ、一度構築したITインフラは、メンテナンスを行いながら保守切れまで長期利用するのが一般的でした。
2.2 クラウド移行が加速している
しかし、市場やユーザーニーズに速やかに対応するため、システム開発だけではなくインフラ構築についても、スピードや柔軟な拡張性などを求める動きが活発化し、インフラのクラウド活用に注目が集まっています。
総務省の平成30年版情報通信白書によると、企業のクラウド利用は年々増加傾向にあり、2017年時点では「56.9%の企業において、一部でもクラウドサービス利用している」との統計が出ています。
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(出典)平成30年版情報通信白書 企業におけるクラウドサービスの利用動向より
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd252140.html
クラウド業界については、以下の記事でも紹介していますので、こちらも合わせて参考にしてください。
関連記事: クラウド業界とは
3.インフラエンジニアが身につけておきたいスキル
インフラエンジニアを目指す方が、これから身につけておきたいスキルについて解説します。
3.1 クラウド技術関連のスキル
まずは、クラウドに関連するスキルです。
クラウドサービスのベースとなっている仮想化技術をはじめ、各事業者が提供するクラウドサービスの知識を深めることが重要です。
クラウドは、物理環境を持たず、インターネットを通じて、必要な時に必要な分だけのリソースを、サービスとして利用する形態です。
■ インフラのクラウド導入のメリット
・物理的な機器管理からの解放
・柔軟なリソース変更が可能
・構築業務のスピードUP
インフラ構築にクラウドを利用することで、機器の調達や設置などの手作業の部分が減るだけでなく、高トラフィックに備えて余分なスペックを見積もる必要がない(コスト削減)などの利点があります。
3.2 プログラミングにも触れておきたい
2つ目は、プログラミングのスキルです。
インフラ業務を効率化させるシェルスクリプトをはじめとして、将来性も考慮するとPythonなどのプログラミング知識も身に着けておきたいところです。
Pythonはアプリケーション開発やAI、機械学習の分野で人気となっていますが、インフラ構築の分野でも利用されています。
3.3 ITインフラの基礎知識は必須
3つ目は、ネットワークやサーバーに関する基礎知識です。
インフラのクラウド化が進んでいるとはいえ、全てのインフラがクラウドに移行するわけではなく、基幹業務システムなどオンプレミスで稼働をし続けている環境もあります。
未経験からの場合は特に、まずはITインフラの基礎からしっかりと身に着けておきましょう。
■ サーバーエンジニアならLinuCレベル1から
サーバーOSとして広く利用されているLinuxについての知識は基本となります。
LPI-Japan主催のLinuC(リナック)は、Linuxについて体系的に学べることから受験者も多い人気資格となっています。
■ ネットワークエンジニアならCCNAから
インフラ業務では、サーバーのスキルだけではなく、ネットワークの知識も欠かせません。
ネットワーク機器でトップシェアを占めるシスコシステムズが主催する、シスコ技術者認定試験のCCNAは、ネットワークの基礎から学べる資格としておすすめです。
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(参考URL:
https://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20180723Apr.html
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社 国内ネットワーク機器市場シェアを発表)
■ データーベースならオラクルマスターBronzeから
データベース環境を構築する場合には、DBの知識が必要となります。
データベースの概要やSQLの使い方についても学ぶのであれば、オラクルマスターBronzeがおすすめです。
その他、データベースやSQLは、基本情報技術者試験の範囲にも含まれているので、基本情報処理技術者試験の参考書を手に取ってみても良いでしょう。
4.ITインフラを基礎から学ぶには、実機に触れよう
インフラエンジニアを目指してスキルアップするには「実機に触れる」ことが何より大切です。
LinuCやCCNAの勉強は、インフラエンジニアを目指すほとんどの人が実行してきた王道と言えます。しかし教科書や机上だけの学習では、頭の中のイメージだけになってしまいがちです。
インフラエンジニアは、実機に触れたりコマンドをたたく実務が多いので、問題集をこなすだけではなく、サーバーやルーターの実機を使って学習することが非常に大切です。
■ 実機にたくさん触れるスクールはおすすめ
実機を使った学習がおすすめとは言え、実機は高価なことも多く、何台も用意するのはなかなか現実的ではありません。 インフラエンジニアへの転職を目指す場合、実機にたくさん触れることができるスクールの活用は、非常に効果的と言えるでしょう。
ルーターを複数台繋げて通信を自分の目で確かめたり、実際にサーバーを構築して体感することは、スキルアップへの近道となります。 さらに、就職支援付きのスクールであれば、就業先の企業の紹介からスキルシートの作成、面接対策などのフォローも受けることもできます。
5.まとめ
IT業界の技術動向は、複雑かつ高度なものとなりつつあります。クラウドの利用が広まるにつれ、インフラエンジニアに求められるスキルにも変化が表れています。
まずは、しっかりとした基礎を固めること、キャリアパスを柔軟に見直しながら、時代のニーズに沿った対応ができるだけのスキルを身に着けていくことが求められています。