近年の仮想化技術や自動化の流れによって、インフラエンジニアもプログラミングを勉強すべきなのかを考える方も多いと思います。なぜプログラミングが必要と言われているのか、インフラエンジニアとプログラミングについて解説します。
1.インフラエンジニアとは
スマートフォンやPCの普及、IT技術の発展によって、インターネットや各種システムは、より身近なものとなりました。もはや生活インフラとも言えるITシステムですが、それらは単体では利用することができず、すべてIT基盤の上に成り立っています。
IT基盤とは、アプリケーションを載せるための土台となる部分であり、サーバーやOS、ソフトウェア、データベースなどのミドルウェア、ネットワーク、セキュリティ管理などを指しています。
インフラエンジニアは、これらのIT基盤の設計、構築、運用監視および保守を行うエンジニアです。
一見地味に見える部分でありながら、IT基盤なくしてアプリケーションは成り立たないため、非常に重要な仕事を担っていると言えます。
インフラエンジニアについては、以下の記事でも紹介していますので、こちらも合わせて参考にしてください。
2.インフラエンジニアにもプログラミングが必要と言われる理由
従来のインフラエンジニアは、サーバーの設定追加やOSインストール、ラックへの機器マウント、ケーブル敷設、障害切り分けなど、必ずしもプログラミングができなくても業務に従事できるものもありました。
作業の効率化のために簡易的なシェルスクリプトを組むことはあったとしても、プログラマーのように常に何行ものコードとにらめっこする必要がなかったからです。
ではなぜ近年、インフラエンジニアにもプログラミングの知識が必要だと言われるようになったのでしょうか。その背景を挙げてみたいと思います。
2.1 ITインフラのクラウド化
まず第一に挙げられるのが、ITインフラのクラウド化です。
AWS、GCP、Azureに代表されるクラウドサービスの登場によって、物理サーバーを持たずにクラウド環境でインフラを構築する企業が増えてきました。
これにより、インフラエンジニア経験者にも新たに必要とされるようになったのが「インフラをコードで制御する」という業務です。
プログラマーのように処理ロジックを組んでスラスラ書けるとまではいかなくても、まずは少なからず書かれているコードが読めて内容が理解できる状態にしておくことで、業務をより円滑に進めることができるようになります。
2.2 フルスタックエンジニアへの期待
ITエンジニア不足が深刻化している中で、より充実したスキルセットを持つエンジニア、言い換えればフルスタックエンジニアへの期待が高まっていることも挙げられます。
開発の視点からインフラ構成を考えることができる、あるいは、インフラの視点からシステム設計を考えることができるといった、システム全体を見渡せるスキルはどの企業からも引く手あまたです。
インフラスキル+αで、デザインやプログラミング知識を身に付けることによって、転職における他のエンジニアとの差別化や、自分のアピールポイントを持つことができます。
3.プログラミングを学ぶメリット
こうした背景から、今後はインフラエンジニアであっても、最低限のシステム開発スキルは身につけておきたい時代になってきている、と考えられます。
インフラエンジニアがプログラミングを学ぶメリットは…
・「順次・反復・分岐」といったプログラムの基本を抑えられる
・アプリケーション開発の流れを踏まえたインフラ業務ができるようになる
・とっさにプログラムの話をふられた場合でも理解できる
・スキルセットで強みができる
など
■ プログラミングの勉強方法は?
プログラミングの勉強方法は、書籍や学習サイトなど様々あります。
中でもスクールで勉強する方法は、予め学習環境が整っており、同じ志を持った受講者同士で情報交換できるのでモチベーション維持にもオススメです。
さらに就職支援付きのスクールなら、企業の紹介だけではなく、スキルシートや面接対策に至るまで、手厚いフォローを受けることもできます。
4.インフラエンジニアが学びたいプログラミング言語
インフラエンジニアがこれから学びたいプログラミング言語を3つ挙げています。
プログラミングを身に付けるには、継続が不可欠です。勉強していて自分が楽しいと感じられるかどうか、また希望するキャリアパスや興味に合わせて、言語を選んでみてください。
4.1 Python
まずはPythonです。
IT業界に興味がある初心者からでも学びやすい言語としても知られており、インフラ業務の自動化などで用いられることも多いため、インフラエンジニアにも人気の高い言語です。
AIやデータサイエンスの分野でも利用されていることから、統計やディープラーニングなどに興味のある方にもおすすめです。
4.2 Ruby
日本人のまつもとゆきひろ氏が開発したことでも有名なRubyは、Python同様インフラ業務の自動化で用いられることが多いことから、インフラエンジニアにおすすめの言語です。
「プログラミングのたのしさ」に注目し、シンプルなコードで見やすく、初心者でも学びやすい言語として知られています。
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4.3 Java
オランダのTIOBE Software社公開の「TIOBE Index」でほぼ1位を独占しているJavaは、基本情報処理技術者試験の午後問題で選択言語の一つとなっており、システム開発現場でも広く用いられています。
習得までに時間がかかる反面、Javaを習得しておくと他言語を学ぶ際にも役立ちます。JavaはC言語に次いで市場ニーズも高いため、インフラ担当を募る開発現場に出向いた際にも大いに活用できるスキルと言えるでしょう。
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5.まとめ
自分で書いたコードが、指示通りに動いた瞬間はとても嬉しいものです。
プログラミングを学ぶことは、インフラエンジニアとしての可能性を広げることに繋がると感じています。
しかしプログラマーのようにスラスラとコードを書いたり、言語の細かい仕様を押さえるには、やはりそれなりの時間を要します。
まずは、インフラエンジニアとして最低限必要なシステム開発の知識を得る、という観点でプログラミング学習を始めてみると、幾分、敷居も低くなるのではないでしょうか。