ネットワークエンジニアという言葉を聞いたことはあるけれど、なかなかイメージが掴めない方も多いと思います。
そこで今回は、ネットワークエンジニアの実際の仕事から年収、スクールについてまでを解説していきますので、ネットワークエンジニアに興味がある方、転職を考えている方などは参考にしてみてください。
1. ネットワークエンジニアは、インフラの業務を担うエンジニア
インターネット上でのデータのやりとりは、ルーターやスイッチなどの「ネットワーク機器」と呼ばれる通信機器が行っています。このデータを受け渡すための基盤そのものをインフラと呼びます。
顧客の要望をもとに、このネットワーク機器の構成やセキュリティを設計、そして実際に構築し保守するエンジニアのことを、ネットワークエンジニアと呼びます。
このように、ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアは共に大きな区分でインフラエンジニアと呼ばれています。その中でもネットワークエンジニアはネットワークの構築・運用をメインで行い、サーバーエンジニアはサーバーの構築・運用をメインで行うという違いがあります。
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2. ネットワークエンジニアの仕事は、要件定義、設計、構築、運用、保守、監視
ネットワークエンジニアの仕事を大きく分類すると、「要件定義」「設計」「構築」「運用」「保守」「監視」の6つが挙げられます。
このフェーズの全てを一人が担当することは、あまりありません。
フェーズ毎に担当するエンジニアが分かれていることが大半ですので、ネットワークエンジニアと言っても、担当するフェーズによって、仕事内容も様々です。
未経験の場合は、監視や運用から始めて、構築、設計へと徐々に携わる分野を広げていくのが一般的と言われています。
3. ネットワークエンジニアの仕事:要件定義
顧客の問題点や要望などを洗い出し、それらを解決するためのネットワークシステムの全体の構想を考え、要件定義書を作成するフェーズです。
要件定義フェーズで必要なスキルには、次の3つが挙げられます。
• TCP/IPの知識
• CCNP(CCIE)レベルのネットワークに関する知識
• コミュニケーションスキル
要件定義では顧客へのヒアリングを行い、これから作成するネットワークについて十分な検討を行うことが必要です。そのためネットワークに関する充分な知識と、顧客要望をくまなく正確に引き出すコミュニケーション能力が求められます。
※CCNPおよびCCIEについては、こちらの記事から詳細を確認できます。
4. ネットワークエンジニアの仕事:設計
設計は大きく分けて3つあり、それぞれ基本設計書、詳細設計書、運用設計書を作成し、どのようなネットワークを作成するかを決定するフェーズです。
① 基本設計
これから作成するネットワークについて、どのような構成にするか、どの機器を用いてどのような機能で実現するかなど、ネットワークの全体の方針を決定します。
② 詳細設計
基本設計書に基づき、どのようなアドレスにするかなど、実際の機器の設定値を決定します。
③ 運用設計
どのように監視するか、どのように保守を行うかなど、ネットワークの運用方法を検討します。
運用設計は、構築のフェーズと並行して行われることもあります。
設計フェーズで必要とされる知識には、次の4つが挙げられます。
• TCP/IP全般(ICMP、TCP/UDP、SNMP等)
• レイヤ2技術(スイッチング、VLAN、スパニングツリー、HSRPやVRRP等)
• レイヤ3技術(ルーティングプロトコル、L3スイッチのVLAN間ルーティング等)
• 負荷分散、冗長化、NTPやsyslogなどの知識
ネットワークの要件を満たすための構成や実装方法を検討するため、ネットワーク機器特有の機能やスペックなど、CCNA以上のネットワークに関する知識が必要とされます。
※CCNA、CCNPおよびCCIEについては、こちらの記事から詳細を確認できます。
5. ネットワークエンジニアの仕事:構築
作成されたネットワーク設計に基づいて機器を設定し、ラックにネットワーク機器を配置、機器同士をケーブルで接続するなど、ネットワークの構築を行うフェーズです。実際に機器に触れる作業なので「ネットワークを作っている」という実感がわき、面白味を感じる方も多いようです。構築時の主な作業には、大きく分けて次の2つが挙げられます。
• 機器の設定やケーブルの接続・・・
機器の設定を行ったり、ケーブルに識別用のラベルを付けて敷設するなどを手作業で行います。
• 回線のテスト・・・
ランプ状態の確認や、通信の正常性、トラブルが発生した場合の通信の切り替わりの確認など、ネットワークが設計した通りに動作するかテストを行います。
構築フェーズで必要なスキルには、次のようなものが挙げられます。
• TCP/IP全般(ICMP、TCP/UDP、SNMP等)
• ネットワーク機器へのTeraTermやTelnetによる接続と設定導入の知識
• レイヤ2技術(スイッチング、VLAN、スパニングツリー、HSRPやVRRP等)
• レイヤ3技術(ルーティングプロトコル、L3スイッチのVLAN間ルーティング等)
• 負荷分散、冗長化、NTPやsyslogなどの知識
現地ではテスト時と異なる結果となったり、使うはずの電源が埋まっていたり、届いているはずのケーブルが足りなかったりするなど、予期せぬ事態も多々発生します。そのため、臨機応変に対応する力も必要とされます。
6. ネットワークエンジニアの仕事:運用
実際にネットワークの利用が開始された後、正常に通信ができるように維持管理を行うフェーズです。運用時には、次のような作業を行います。
• PCの増減に合わせてネットワーク構成を変更する
• 機器のアップデートやリプレイス、再構築を行う
• ユーザーのアカウント管理を行う
• 設計書や構成図のメンテナンスを行う
このように、実際に稼働しているネットワークを安全に利用できるようフォローしていく作業がメインです。後述の保守・監視業務やヘルプデスク業務を兼務する場合もあります。
運用フェーズで必要なスキルには、次のようなものが挙げられます。
• TCP/IP全般(ICMP、TCP/UDP、SNMP、Telnet等)
• CCNAレベルの知識とコマンドによる設定や確認、Exping、TereTerm等のツールの使用
• NTPやsyslogなどの知識
ネットワークだけではなく、バックアップジョブのタスク管理をしたり、電子証明書の発行や削除作業を行うなど、ITに関する幅広い知識も必要とされます。
7. ネットワークエンジニアの仕事:保守・監視
ネットワークに障害が発生していないか監視し、発生した場合速やかに復旧作業を行うフェーズです。
ネットワークエンジニアとして最初に従事するフェーズとして一般的ですが、ネットワークの全体構成や、ネットワーク機器の特性に深く精通している必要があるため、決して簡単な業務ではありません。保守・監視フェーズの主な業務として、ネットワーク上で発生した障害の検知と、その復旧作業が挙げられます。
• 日々の稼働状況のチェック
• 故障している部分の特定
• 影響が発生している部分の特定
• 必要に応じて機器の交換などを行う
ネットワークはいつ故障するかわかりません。そのため、保守・監視業務は、24時間365日(交代制)で行われ、夜勤となることもあります。
保守フェーズで必要なスキルには、次のようなものが挙げられます。
• TCP/IP全般(ICMP、TCP/UDP、SNMP、Telnet等)
• TeraTerm、Exping、Wireshark等のツールの使用
• レイヤ2技術(スイッチング、VLAN、スパニングツリー、HSRPやVRRP等)
• レイヤ3技術(ルーティングプロトコル、L3スイッチのVLAN間ルーティング等)
影響範囲の特定を行い、故障原因、障害の切り分けを行うには、CCNPレベルのネットワーク機器に関する専門的な知識が必要です。障害の際は、直接顧客と会話をして作業を進めていく必要もあるため、事象を的確に伝えるためのコミュニケーションスキルも必要とされます。
8. ネットワークエンジニアの仕事:ヘルプデスク
ユーザーから問題発生の報告や不明点の問い合わせを受けて取り纏め、発生状況の調査や疑問への返答などの、直接のユーザー対応を行うフェーズです。
利用ユーザー数が膨大なネットワークには、ヘルプデスク担当としてユーザー対応のみを専門的に行うメンバーがいる場合もあり、正確にはネットワークエンジニア独特の業務というわけではありません。ただし分業するほどの作業量ではない場合、ネットワークエンジニアが運用・保守・監視などの業務とヘルプデスクを兼務して行う求人もあります。
このヘルプデスクを中心として行う案件には、ネットワークエンジニアとしてのスキルはそれほど高度な水準を要求されない案件も多数存在します。そのためヘルプデスクを兼ねる案件は、ネットワークエンジニアとしてはまだ初心者の方が経験を積むための案件としても、おすすめです。
9. フリーランスネットワークエンジニアの年収は平均865万円~1089万円
フリーランスの場合、ネットワークエンジニアの平均年収は865万円~1089万円です。
(2022年4月中旬時点でプロエンジニアに登録されているネットワークエンジニアのフリーランス案件93件より、報酬月額上限平均および下限平均を、×12カ月として算出。なお報酬月額が下限のみ提示されている案件については、上限は+20万円と仮定して算出しています)
また担当フェーズごとに平均年収にも違いがあり、より高いスキルや経験が要求される上流工程に向かうにつれ、平均年収も上がる傾向にあります。
10. 未経験者でもネットワークエンジニアを目指すことは可能?
昨今のIT社会でネットワークエンジニアは非常に需要があり、未経験者からでも目指すことは充分可能です。
例えば次のようなスクールで、未経験者向けにネットワークエンジニアコースなどが開講されています。
スクール | 受講タイプ | コース費用例 | 受講期間例 |
---|---|---|---|
KENスクール | 1対1の個別指導 | 217,000円 | 70時間
(6か月) |
Winスクール | 1対1の個別指導 | 238,000円 | 150分×22回 |
ソフトキャンパス | 1対1の個別指導 | 397,100円 | 65コマ
(4か月) |
資格とキャリアのスクールnoa | クラス制または自由予約制による対面指導 | 310,000円 | 100時間 |
パソコンスクールISA | テキストとE-learningによるレッスン | 180,000円 | 51時間
(6ヵ月) |
エンジニアカレッジ | 対面またはオンラインによる実践形式授業、個別研修あり | 完全無料 | 40~280時間
(1~2ヵ月) |
当社が運営するエンジニアカレッジでは、学習途中で挫折しないための環境が整っているだけではなく、充実した就職支援も行っています。企業様から協賛金を募ることで無料スクールが成り立っており、就職率は96.2%です。
エンジニアカレッジには、次のような特徴があります。
• オンラインにも対応した実践形式授業
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未経験から本気でネットワークエンジニアとして就職したい方におすすめです。
11. まとめ
ネットワークエンジニアの仕事は、Webサイトやスマホのアプリケーションのように、直接目に見えるものではありません。しかし現代のIT社会にはなくてはならないものであり、ネットワークエンジニアとはまさに「縁の下の力持ち」と言えるでしょう。
クラウド化の動きが強まり、専門知識がなくてもネットワークを構築できる時代になってきたからこそ、基礎からのしっかりとした技術を持ったエンジニアが重要視されています。
是非、ネットワークエンジニアの求人にチャレンジしてみて下さい。