多くの方が希望を持ってフリーランスになりますが、予定外のタイミングで辞めざるをえなくなる方も少なくありません。
本記事では、フリーランスが廃業を考えるきっかけになったよくある事例と、その状況を事前に回避するための具体的な対処法についてご紹介します。また、勢いで独立して悲惨な末路をたどることのないように、独立する前に取っておくべき事前対策をチェックシート形式でご紹介します。
1. フリーランスの悲惨な末路…15の失敗事例と、その回避策
フリーランスが廃業に追い込まれたよくある事例には、次のようなものがあります。
【 1 】会社員時代の月給より高い月額単価をもらえると思って独立を決めたが、想像していたよりも税金や保険などの支出が多く、手取りが少なかった
【 2 】加齢と共に収入が減ってしまった
【 3 】大きな病気が見つかったので治療に専念したところ、収入がなくなった
【 4 】働きすぎて身体を壊した
【 5 】収入増を目指して仕事をたくさんこなそうとがんばった結果、同時進行の案件を抱えすぎて疲れた
【 6 】膨大な数の案件から自分に合う仕事を探すのが難しく、面談に至ってもアンマッチが続いて次の仕事が決まらない
【 7 】新しい案件のたびにクライアントと商談をしたり、新しいチームに馴染まなければならないので、人見知りにはストレスだった
【 9 】事務作業が苦手なので、契約書のチェックや請求書の作成、確定申告の作業などに時間を取られるのが嫌になった
【10】クライアントとトラブルになってしまったが、味方が誰もいなくて辛かった
【11】クライアントに損害を与えてしまい、高額な賠償金を請求されてしまった
【12】悪質なクライアントにつかまってしまい、作業したのに報酬をもらえなかった
【13】実名(またはペンネーム)で運用しているSNSが炎上してしまい、信用を失った
【15】そもそも最初の案件が見つからない
それぞれの状況と回避策を、詳しく解説します。
【 1 】会社員時代の月給より高い月額単価をもらえると思って独立を決めたが、想像していたよりも税金や保険などの支出が多く、手取りが少なかった
フリーランスは会社員とは異なり、社会保険料が全額自己負担です。さらにボーナスやその他の福利厚生も用意されないため、月額単価が高めに設定されています。そのため単純に会社員の月給と比較して月収が高いと思って案件を受けると、実際の手取り(手元に残るお金)が少なかったという事態になりがちです。
なお月単位で見て手取りが会社員より高いと思えても、フリーランスには会社員のような昇給制度がないため、経験年数と比例して月収が上がる保証はないのが現実です。計画的に貯蓄しておかなければ、老後の資金が足りない状況に陥る可能性があります。
!回避策
正社員の生涯年収から単純に逆算すると、将来が安心できる目安は「月額単価60万円以上の案件を安定して受けられること」です。なぜ60万円なのか、詳しい理由は次の記事をご確認ください。
【 2 】加齢と共に収入が減ってしまった
多くの会社員は加齢と共に収入が上がりますが、フリーランスは年々受けられる案件が減ってしまうことがあります。
!回避策
年々受けられる案件が減る状況に陥るのは、年齢のせいではありません。持っているスキルがコモディティ化し、需要が減ってしまうことが原因です。この状況を回避するためには、時代に合わせたスキルの更新が必要です。フリーランスを続けるには、常に情報感度を高めておく必要があります。
SNS上やオフラインでフリーランスのコミュニティに参加することで、情報交換ができます。自分で情報収集する時間がないという方は、フリーランスエージェントに聞けば今需要があるスキルだけでなく、今後需要が増えそうなスキルまで、エージェントが収集した情報を教えてもらうことができます。
フリーランスになって最初の10年間はJavaエンジニアとして、エージェント経由で銀行系の仕事を主に請けていました。リーマンショックをきっかけに、大手企業の案件が減少し、銀行系の案件を請けられなくなったため、リーマンショックの影響を受けなかった中小企業のPHP案件を請け始めました。それ以来PHPの案件を10年以上請け続けています。
出典:フリーランス経験23年。自由に仕事を選べる環境を求めフリーランスに。10年以上お世話になっているプロエンジニアのおかげで、理想の案件で働けています|プロエンジニア
【 3 】大きな病気が見つかったので治療に専念したところ、収入がなくなった
会社員であれば自動的に加入する雇用保険が、フリーランスにはありません。そのため仕事を休んでいる間は、無収入になります。
!回避策
医療費だけでなく収入を保障してくれるタイプの医療保険など、自分に必要な保障を選んで加入しておくと安心です。また収入が減少した個人事業主を助けるための制度もありますので、万一の際には活用してください。
国民年金については、収入の減少に応じて納付の猶予や免除を受けることができます。
【 4 】働きすぎて身体を壊した
フリーランス(個人事業主)は、労働基準法の適用外です。そのため、働こうと思えばいくらでも働けてしまい、気をつけなければ疲労がたまりがちです。さらに残業がかさんでも強制的に健康診断を受ける制度がないので、体調の変化に気づかないまま働きすぎてしまうことも。
!回避策
まだ作業できると思っても無理はせず、規則正しい生活を心がけてください。またフリーランスには健康診断の義務はありませんが、少なくとも年に一回は受けておくと安心です。
フリーランス協会などのフリーランス向け互助団体には、加入すると健康診断の割引を含む福利厚生が利用できるところがあります。また、フリーランスエージェントにも福利厚生が用意されている場合があるので、チェックしてみてください。
プロエンジニアでは、フリーランスエンジニアの皆様に快適な仕事環境を提供するために、福利厚生もご用意しています。(中略)年に1回の健康診断も割引価格で受診することができます。
【 5 】収入増を目指して仕事をたくさんこなそうとがんばった結果、同時進行の案件を抱えすぎて疲れた
一つ一つの案件がそれほど難しいものではなくても、一度に多くの案件を抱えすぎると精神的にも肉体的にも疲れやすいものです。理由は、スケジュール管理やクライアントとのやりとりが複雑になるためです。
!回避策
毎月の目標額を複数の案件で達成するのではなく、できるだけ一つの案件で安定して得られるように厳選して受注することがおすすめです。一つのタスクに集中して取り組むことができ、疲労感を抑えることができます。
【Q】フリーランスエンジニアが「良い案件」に巡り合えない、よくある理由は何でしょう?
【A】クラウドソーシングでの受注にこだわりすぎていることが、典型的な理由です。(中略)つまり2022年現在、クラウドソーシングサービスは「比較的小規模な案件」に「多くの登録者」が殺到している形です。良い案件に巡り合えないと感じる方が多いのは、当然です。
【 6 】膨大な数の案件から自分に合う仕事を探すのが難しく、面談に至ってもアンマッチが続いて次の仕事が決まらない
ITエンジニアなど、業種によっては膨大な数の案件がネット上で募集されています。それはフリーランスにとってありがたいことですが、大量の求人票を読んで比較し、自分に合った案件を探すのも一苦労です。さらに、せっかく見つけた案件に申し込んでも面談でアンマッチになってしまうことも少なくありません。
!回避策
自分の労力を最小限に抑えた状態で確実に案件を受注できるように、エージェントに自分に合った案件探しを代行してもらうことができます。
市場にある案件を僕に投げてくるエージェントが多い中、碓井さんの場合は、僕の希望に合った案件を厳選して紹介してくださるんです。「金子さんの今の経歴で、この案件に参画するとスキルアップが叶うかもしれません」、「このスキルを伸ばすとさらに市場価値も高くなるので、この案件がよいかもしれません」という風にご提案を下さるので「是非一度、話を聞いてみたい」と思う案件が多いんです。
出典:会社員SEからフリーランスエンジニアへ。自分に合った案件を厳選紹介してくれるプロエンジニアのおかげで、スキルが向上し、参画できる案件が増えました!
【 7 】新しい案件のたびにクライアントと商談をしたり、新しいチームに馴染まなければならないので、人見知りにはストレスだった
他人との密なコミュニケーションが苦手な方には、人間関係が流動的なフリーランスはストレスが少ないというメリットがあります。その反面、案件が変わるたびに新しいクライアントとの商談やチームメンバーとの連携が発生するため、人見知りタイプの方には強いストレスになる場合があります。
!回避策
新しい環境に慣れることに時間がかかる方は、案件を受注する際に、できるだけ長期に継続して入れる案件を探すことがおすすめです。求人票を見ても長期かどうか分からないという場合は、エージェントに相談すれば希望に沿った案件を探してもらうことができます。
またフリーランスを続けていると、単価交渉などの商談が必要になる場面もあります。しかし「商談は苦手…」という方は、エージェントに任せることができます。
ご希望の案件がございましたら、参画スタート日や、報酬条件などご希望をお聞かせください。商談が苦手な方も、プロエンジニア担当キャリアコンサルタントがしっかり交渉致します。
【 8 】人間関係が希薄になりすぎて、精神的に孤独になった
リモートワークは気楽な働き方である反面、ずっと一人で仕事をしていると孤独を感じてしまう場合があります。特に一人暮らしの場合、会話を全くしない生活が続いてしまうことも。
!回避策
フリーランスの案件にはリモート作業も多いですが、オフィスに常駐してチームメンバーと共に作業する案件もあります。通勤が難しいという場合は、フリーランスの交流会や勉強会に積極的に参加することもおすすめです。
意外かもしれませんが、実はフリーランス側からも「常駐で働きたい」という声をいただくことがあります。常駐した方が仕様把握が簡単なことに加え、現場からのフォローアップも受けやすく、クライアント側との信頼関係が築きやすいというのが理由です。
【 9 】事務作業が苦手なので、契約書のチェックや請求書の作成、確定申告の作業などに時間を取られるのが嫌になった
青色申告を行う場合、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を作成する必要があります。慣れない場合は作業に時間を取られてしまい、締め切り直前に慌てる人も少なくありません。
!回避策
自分で全ての書類を作成することが不安な方は、仕分けの入力などを補助してくれる会計ソフトを事前に導入しておくことがおすすめです。どうしても苦手な場合は、フリーランス一年目から税理士を利用している人もいます。
また契約書のチェックや請求書の作成については、エージェントを通すことで大幅に手間を減らすことができます。
税金の手続きに関しては初めから代行業者にお願いしました。
出典:収入アップを目指してフリーランスのフルスタックエンジニアに!エージェントは商流が浅い直案件、高単価案件が豊富なプロエンジニア一択です
【10】クライアントとトラブルになってしまったが、味方が誰もいなくて辛かった
クライアントと意見の行き違いがあった際、お互いに感情的になってしまうことが全くないとは言い切れません。また、充分に注意していても大きなミスをしてしまったり、納期に間に合わないといった事態もあり得ます。 そのようなトラブルが発生した場合、フリーランスは一対多の構造になってしまいやすく、精神的に辛い状況になることがあります。
!回避策
万一ミスをしたときや納期に遅れそうなときは、気づいた時点ですぐに伝え、対応策を添えて真摯に謝ることが重要です。
また、ミスでなくても意見の相違などがあり、こじれそうになってしまうケースもあります。その場合エージェントなどの第三者を通して契約していれば、話し合いの間に立ってもらうことができる場合があります。
以前契約していた案件先の現場担当者と私の意見が合わないことがあったのですが、プロエンジニアの担当キャリアコンサルタントに相談したところ、現場の状況やこちらが求める改善点を丁寧にヒアリングし、後日現場担当者にしっかり伝えてくださり、状況改善に務めてくれました。
出典:「自力で稼ぐ」をモットーにフリーランスエンジニアに。Androidエンジニア歴9年。自由度の高い暮らしを叶え、充実した日々を送っています
【11】クライアントに損害を与えてしまい、高額な賠償金を請求されてしまった
悪気がなくても事故で器物損壊や情報漏洩などが起こって顧客に損害を与えてしまい、予想外に高額な賠償金を請求されてしまうことがあります。
!回避策
フリーランス賠償責任保証などに加入することで、万一の時に備えることができます。フリーランス向けの互助団体やエージェントを通すと、福利厚生として用意されていることがあります。例えばプロエンジニアも、フリーランス賠償責任保証に加入しています。
情報漏えい、著作権侵害など。損害賠償が必要になったときに保険金が支払われます。
【12】悪質なクライアントにつかまってしまい、作業したのに報酬をもらえなかった
全ての作業を終えたのに何かと理由をつけて納品完了にしてくれなかったり、なかなか支払いが行われなかったり、そのまま音信不通になったりするクライアントもいます。
仲介サービスを通さず契約していたり、請負契約のことをよく分かっていない個人からの依頼で作業したときに発生しやすいケースです。
!回避策
弁護士や司法書士など専門家に事前に契約書をチェックしてもらうか、仲介サービスを通して実績のあるクライアントと契約すると安心です。
もし個人から依頼を受ける際には、支払いの仕組みがしっかりしている案件マッチングサービスを間に挟みましょう。
案件参画日までのサポートはもちろん、入社後も担当キャリアコンサルタントがしっかりとフォローさせて頂きます。定期的にコミュニケーションを取り、近況確認の他、不安や疑問点もしっかりサポート致します。小さなことでもお気軽にご連絡ください。
【13】実名(またはペンネーム)で運用しているSNSが炎上してしまい、信用を失った
ネームバリューが重要な業種にて、宣伝用SNSでの発言が炎上してしまうと、イメージを大事にする企業から敬遠されて良い仕事が来なくなる場合があります。
!回避策
イラストレーターをはじめとしたクリエイターの方にとって、自分のブランドイメージを守ることも大切です。SNSは仲間と交流したり最新情報を得るために重要なツールなので、慎重に活用しましょう。プライベートと仕事用のアカウントは分けておくと安心です。
【14】家や車が買いたいのに、ローンの審査が通らない
フリーランスは現時点で充分な収入があっても、この先も同じ収入が続くとは限らないとみなされ、会社員より銀行のローン審査が通りにくいという現実があります。
!回避策
家や車を買う予定がある方は、ローンを組み終えてからの独立がおすすめです。なお、一括での購入には特に問題ありません。
【15】そもそも最初の案件が見つからない
勢いで退職してから慌てて仕事を探そうとすると、希望する条件を満たす案件が見つからず、希望を下げざるをえない状況に陥る場合があります。
!回避策
職場でのトラブルなどをきっかけに、勢いで独立しないように気をつけましょう。副業から始められる職種の場合は、収入の目途がたってから退職すると安心です。
副業が難しい職種の場合は、退職前にフリーランス向けの勉強会や交流会に参加して知り合いから直接案件に誘ってもらう、エージェントに相談するなどして、初めての案件を確保してから退職することがおすすめです。
2. フリーランスで失敗しないために、事前に取っておくべき7つの対策
悲惨な末路をたどるフリーランスの多くは、初動で失敗しています。最初でつまづいてしまうことのないように、事前に取っておくべき7つの対策をご紹介します。特に「専業フリーランスとして独立」する方は、気をつけておいてください。
まず言わずもがなですが、良い案件を得るためにも、充分な専門的スキルを身につけることが重要です。さらに専業のフリーランスになる場合は、フリーランスに必要な事務処理や法律に関する知識が必要なだけでなく、商流やマージン、支払いサイクル等の用語の正しい意味を知っておきましょう。どうしても難しい場合は、いざという時に相談できそうな弁護士や税理士、エージェントなの利用がおすすめです。
3. 独立する前に、資金はどのぐらい用意しておけば安心?
いざというときの資金が足りないと、事業を軌道に乗せることもできません。とはいえ、独立後もすぐにまとまった報酬が入ることが決まっているならば、それほど意識しなくても大丈夫です。
ただ収入の額や支払日が不透明という場合は、半年から一年分の生活費を用意しておけると安心です。
4. 悲惨な末路を迎えないために、事前対策チェックシート
フリーランス化で悲惨な末路を迎えないために、気をつけておきたいことをチェックシートにまとめました。独立を予定している方は、全項目にチェックが入っているか念のため確認してみてください。
5. フリーランスで成功している人には明確な目的がある|インタビューを紹介します
フリーランス化で成功するには、目的を持って独立することが大切です。実際に無理なくフリーランスを続けている方の目的はどういったものなのか、インタビューしてみました。自分は何を目指して独立したいと考えたのか、自分に合った目的を見つけるための参考にしてください。
5.1 家族と過ごす時間を増やすため
5.2 プロ試験に合格する夢と両立するため
5.3 最先端のスキルに携わるため
6. まとめ
「フリーランスは増えすぎているからやめとけ」と言われることがありますが、実際に、近年の働き方改革や外出自粛の影響で大幅な増加が続いています。ランサーズが発表した「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版 *1」によると、「日本のフリーランス人口は全国民の24%」に達しているようです。
*1 引用元:『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』発表|ランサーズ
そのため誰にでもできる仕事は争奪戦状態になっており、その末路には悲観的な声が届いていないわけではありません。しかし事前準備をしっかりと整え、さらに明確な目的を持って独立すれば、成功する確率を高めることができます。
不本意な末路を回避するためにも、本記事が安心して独立するための一助になれば幸いです。
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