フリーランスは自由な働き方ができる点がメリットですが、会社員に比べると収入が不安定など、不安要素も数多くあります。この不安の多いフリーランスという働き方を安定して長く続けていくためには、事前準備が大切です。
この記事では、フリーランスから良く聞こえる不安の声と、それを乗り越えるための対応策をご紹介します。
1. フリーランスをとりまく不安要素…データから見る現実
まずフリーランスの市場から、独立に対する不安要素をデータでご紹介します。
1.1 フリーランスが急増し、5年で1.5倍になっている
外出自粛や働き方改革の流れにより、フリーランスは5年で1.5倍に急増しています。同業者が増えることで競争が激しくなると、安定した受注が難しかったり、価格競争が起こったりすることが考えられます。
引用:『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』発表|ランサーズ
ただ、この急増は専業というよりは「副業」のフリーランスが増えたことが主な原因です。つまり誰でもできる仕事は競争の激しさを増していますが、専門的なスキルを持ったフリーランスに対する需要は安定的に続いている状況です。
例えば「20代後半から30代前半のフリーランスエンジニア」は、特に不足しています。フリーランスを安定して続けるためには、自分がなりたい職種の需要を見極める必要があります。
次の記事では、受講料無料のプログラミングスクール「プログラマカレッジ」のキャリアアドバイザーと、フリーランスエージェント「プロエンジニア」のコンサルタントが、対談形式でより詳しく実情をご紹介しています。
1.2 フリーランスの5人に1人は、理不尽な扱いを受けたことがある
令和5年9月に1200人の回答者に対して行われた厚生労働省の調査によると、20.5%のフリーランスが「主な取引先から納得できない行為を受けた経験がある」と回答しています。
出典:フリーランスの業務及び就業環境に関する実態調査|厚生労働省
ただ、2024年の11月からは、フリーランス(個人事業主や、従業員のいないひとり法人)が安定して働ける環境を保護するための「フリーランス保護新法」が施行されます。
これまでは作業内容や報酬額、支払期日などを明示せずに発注が行える状態だったため、フリーランスが理不尽な扱いを受けても泣き寝入りせざるをえないトラブルが相次いでいました。しかしフリーランス新法では、発注企業側に次のような規律が課せられるようになりました。
この新法により、フリーランスが安心して働けるようになることが期待されています。
2. フリーランスにありがちな10の不安要素と解決策
ここからは、実際にフリーランスになった方が日々感じている不安と、その解決策をご紹介します。
2.1 フリーランスは正社員より稼げない
内閣官房が発表した「令和4年度フリーランス実態調査結果」によると、回答者2119人のうち直近1年間の収入が500万円未満が62%、500万円以上が22%、「答えたくない」が16%という結果になりました。
対して、国税庁が発表した「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、正社員の平均年収は523万円です。フリーランス収入のみで正社員の平均より多く稼ぐことは、難しい可能性があります。
!解決策
フリーランスでまとまった収入が得られるかは、職種や持っているスキルが大きく影響します。まずは副業から始めて、市場の様子を見極め「稼げる自信」がついたら本業をフリーランスに移行するのもおすすめです。
2.2 ケガや病気などで働けなくなると、収入がなくなってしまう
フリーランスには雇用保険がないため、働けない期間は無収入になってしまいます。
!解決策
収入を補うタイプの保険に加入するなど、自分で備えを用意しておくと安心です。もし万一の事態になってしまったら、ぜひ各種の免除制度などを活用してください。
国民年金については、収入の減少に応じて納付の猶予や免除を受けることができます。
ただしデメリットとして、将来受け取る年金の額が減少するという点が挙げられます。とはいえ「全額免除」になっても2分の1は保証されます。対して「未納」の場合は全く保証されないため、支払いが難しい場合は忘れずに手続きを行っておきましょう。
なお免除を受けた後、10年間は免除された分を追納することができます。年金を減らしたくないという方は、後で余裕ができた際に納付することも可能です。
2.3 年齢を重ねると、仕事が減ってしまう
年々受注できる仕事が減っていく状況に陥るケースは、実は年齢のせいではなく、コモディティ化してしまったスキルに対する企業側の需要が減っていくことが原因です。
!解決策
新しいスキルに対して常にアンテナを張り、スキルの更新をしていく必要があります。また、専門職ならではの必殺技スキルを身につけることが重要です。
次の記事では、コンサルタントがより詳しく実情をご紹介しています。
なお厚生労働省が発表した「令和5年度フリーランスの業務及び就業環境に関する実態調査」によると、回答者で最も多かったのは40代で22.4%、次いで60代が19.9%、70歳以上も12.8%という結果でした。逆に20代以下は6.0%です。
このように、フリーランスはスキルや体力さえあれば長く続けることが可能なことが分かります。
出典:フリーランスの業務及び就業環境に関する実態調査|厚生労働省
2.4 先輩など周囲のサポートが受けられない
フリーランスは企業側にとっては「育成」の対象ではありません。即戦力であることが求められるので、自立して作業できる必要があります。
逆に言えば「周囲のサポート」が受けづらく、また研修なども受けづらい点を理解しておく必要があるでしょう。
!解決策
現場常駐で作業すれば、会社員同様に周囲のフォローを受けることができます。慣れないうちは常駐から始まる案件を選び、リモートへは徐々に移行することがおすすめです。
次の記事では、コンサルタントがより詳しく実情をご紹介しています。
2.5 税金や保険などの事務手続きを、自分でやる必要がある
会社員ならば総務がやってくれていた処理を、フリーランスは自分でやる必要があります。まず初めに開業手続きや保険の切替手続きが必要なほか、確定申告など時間がかかる作業が毎年発生します。
!解決策
どうしても苦手で、どうせならその時間を本業にあてたいという方には、税理士など代行業者の利用がおすすめです。
税金関係の手続きに不安があったのと、実際に初年度は経費の申請をしていなかったので、翌年の住民税で痛い目に合いました(笑)翌年からは税理士の方にお願いしました。
2.6 自分で営業して取りに行かなければ、仕事がなくなってしまう
会社員とは違い、フリーランスは自分で仕事を探さなければなりません。さらに新しい案件を受注するたびに、面接で自分を売り込む必要があります。
!解決策
案件を探す時間が惜しいという方は、信頼できるエージェントに代わりに最適な案件を探してもらうという方法があります。
市場にある案件を僕に投げてくるエージェントが多い中、碓井さん(※注:弊社「プロエンジニア」の担当者)の場合は、僕の希望に合った案件を厳選して紹介してくださるんです。「金子さんの今の経歴で、この案件に参画するとスキルアップが叶うかもしれません」、「このスキルを伸ばすとさらに市場価値も高くなるので、この案件がよいかもしれません」という風にご提案を下さるので「是非一度、話を聞いてみたい」と思う案件が多いんです。
出典:会社員SEからフリーランスエンジニアへ。自分に合った案件を厳選紹介してくれるプロエンジニアのおかげで、スキルが向上し、参画できる案件が増えました!
2.7 クライアントとトラブルが発生しても全部自力で解決しなければならない
クライアントとトラブルがあった場合、フリーランスは自力でこじれないように解決しなければなりません。理不尽なトラブルでなくても、納期の延期や報酬アップなどの交渉も、自分でやる必要があります。またクライアントから理不尽な報酬カットなどの要求をされた場合にも、自分の身は自分で守らねばなりません。
!解決策
フリーランスエージェントなどのサービスを利用していれば、万一の場合は交渉の間に入ってもらうことができます。また報酬カットなどの場合はまずエージェントに話が行くため、自分で対処する必要がありません。さらに、エージェントは単価アップ交渉も代行してくれる場合があります。
以前契約していた案件先の現場担当者と私の意見が合わないことがあったのですが、プロエンジニアの担当キャリアコンサルタントに相談したところ、現場の状況やこちらが求める改善点を丁寧にヒアリングし、後日現場担当者にしっかり伝えてくださり、状況改善に務めてくれました。
出典:「自力で稼ぐ」をモットーにフリーランスエンジニアに。Androidエンジニア歴9年。自由度の高い暮らしを叶え、充実した日々を送っています
2.8 クライアントに損害を与えたら自分で保障しなければならない
気をつけていても、情報端末の紛失などで情報漏洩が発生したり、貸与された機器の破損などでクライアントに損害を与えてしまうことがあります。その場合、フリーランスは自分で賠償金を支払う必要があります。
!解決策
フリーランス向けにさまざまな保険が登場してるので、自分に必要な保険を選んで加入しておくと安心です。
例えば「フリーランス賠償責任保証」に加入することで、フリーランスに起こりやすい万一の事態に備えることができます。フリーランス向けの互助団体やエージェントを通すと、福利厚生として用意されていることもあります。弊社のプロエンジニアも、フリーランス賠償責任保証に加入しています。
情報漏えい、著作権侵害など。損害賠償が必要になったときに保険金が支払われます。
2.9 労働基準法で保護されないので、過重労働になりやすい
自分が働いたほどに収入がアップするのは、フリーランスの魅力の一つです。しかし労働基準法で保護されないため、働きすぎていても誰にも止めてもらえず、過重労働になりやすいという落とし穴があります。
!解決策
よほどでなければ徹夜では作業せず、規則正しい生活を意識しましょう。またフリーランスに健康診断は義務ではありませんが、毎年受けておくことがおすすめです。
フリーランス協会などのフリーランス向け互助団体には、加入すると健康診断の割引を含む福利厚生が利用できるところがあります。フリーランスエージェントにも福利厚生として健康診断の補助が用意されている場合があるので、要チェックです。
プロエンジニアでは、フリーランスエンジニアの皆様に快適な仕事環境を提供するために、福利厚生もご用意しています。(中略)年に1回の健康診断も割引価格で受診することができます。
2.10 収入が不安定になり、お金の面で社会的信用が低下する
フリーランスは会社員に比べて収入が不安定だと考えられているので、ローンや賃貸、カード作成の審査で不利になります。
!解決策
家や車など大きな買い物の予定があるなら、会社員のうちに済ませてから独立することがおすすめです。特に、カードが一枚もない場合は早めに作っておきましょう。海外旅行の申し込みなど、カードを一枚も持っていなければ困る場面があります。なお、大きな買い物でも、現金一括で購入するぶんには全く問題ありません。
3. 不安要素だけじゃない!フリーランスならではの安心要素3つ
ここまで不安要素を挙げてきましたが、フリーランスには安心できる要素もあります。その中でも代表的なものを、3つご紹介します。
3.1 案件を自分で選べるので、合わないことを無理にがんばる必要がない
会社員であれば、配属や配置転換によって肌に合わない業務に就かなければならないことがあります。しかしフリーランスであれば、自分がやりたい仕事を選ぶことができます。
⚠ 注意点
だからといってあれもこれもダメでは、仕事を見つけることができません。積極的に興味のあること、得意なことを探し続けてゆく必要があります。
当時務めていた会社では自分が望まない業務内容の仕事をあてがわれることが多く、とても希望が通るような環境ではなかったため、とにかく自由な環境に身を置きたかったというのが本当のきっかけかと思います。
(中略)
フリーランスになって最初の10年間はJavaエンジニアとして、エージェント経由で銀行系の仕事を主に請けていました。リーマンショックをきっかけに、大手企業の案件が減少し、銀行系の案件を請けられなくなったため、リーマンショックの影響を受けなかった中小企業のPHP案件を請け始めました。それ以来PHPの案件を10年以上請け続けています。出典:フリーランス経験23年。自由に仕事を選べる環境を求めフリーランスに。10年以上お世話になっているプロエンジニアのおかげで、理想の案件で働けています
3.2 作業する場所や時間を自分で選べるため、ワークライフバランスを調整しやすい
例えばフルリモートの案件を選べば、何時間もかけて通勤する必要がないぶん、プライベートに時間をあてられます。また育児や介護などで時短勤務が必要になった場合は、作業量を抑えた案件を選んで受けることができます。
⚠ 注意点
リモートワークなど自宅で作業する場合、オンオフにメリハリがなくなってしまいがちです。そのため割り当てられた作業を時間内に集中して終わらせることができず、逆にダラダラと残業してしまうケースもあるので、自己管理に注意が必要です。
【Q】フリーランスになって良かった点を教えてください
【A】良かったことは、やはり子供との時間が増えたということですね。基本的に定時で終業できていますし、時には子供の用事でお休みを頂くこともあります。端的に言うと、自由な時間ができたということですね。
3.3 人間関係が流動的なので、職場に相性の悪い人がいても苦になりにくい
基本的に、案件が変われば人間関係がリセットされます。そのため、もしチームに苦手なタイプの人がいても、期間限定だと思えばあまり悩まずに対応できるというメリットがあります。
⚠ 注意点
人見知りで新しい人間関係に慣れるまで時間がかかる人は、逆に大変だという声もあります。それでもフリーランスになりたい目的がある場合は、エージェントに相談することがおすすめです。求人票の文面だけでは分からない裏事情(長く続けられそうか、や、実際の職場の雰囲気)をしっかりと確認してからの受注がおすすめです。
4. 安心してフリーランスになるために…独立の事前チェックリスト
これからフリーランスになりたいけど、不安……という方へ、安心して独立するために必要な準備のチェックリストを作成してみました。全てにチェックが入るか、事前に確認してみてください。
5. フリーランスとして安心して働き続けるためのチェックリスト
独立後も安心して働き続けるために必要なことの、チェックリストを作成しました。独立を検討している方は、当てはまるかチェックしてみてください。
特に複数案件の並行受注が難しい職種の場合は、2、3か所のエージェントを併用し、今の案件が急に途切れる可能性に常に備えておくことがおすすめです。
エージェントによって抱えている案件が異なるため、特に急ぎで探す場合は馴染みのエージェントにちょうど適した案件があるとは限らないためです。
6. 安心して独立するために、よくある質問
【Q】安心して独立するためには、どのぐらいの貯金を準備すればいいのでしょうか
【Q】老後を安心して迎えるには、どのぐらいの収入を目指せばいいのでしょうか
【Q】初めての案件探しで、自分のスキルに合う仕事を見極められるのか不安です
【Q】安心して独立するためには、どのぐらいの貯金を準備すればいいのでしょうか
【A】いざというときの資金が足りないと、事業を軌道に乗せることもままなりません。とはいえ、独立後もすぐにまとまった報酬が入ることが決まっているならば、それほど意識しなくても大丈夫です。初めての収入額や支払日がどのぐらいになるか分からないという場合は、半年から一年分の生活費を用意しておけると安心です。
【Q】老後を安心して迎えるには、どのぐらいの収入を目指せばいいのでしょうか
【A】老後を安心して迎えるという基準を「正社員の生涯年収」をもとに算出すると、月収60万円ほどを目指したいところです。詳しい計算方法などは、次の記事でご紹介しています。
【Q】初めての案件探しで、自分のスキルに合う仕事を見極められるのか不安です
【A】案件探しが初めての方の場合、「もし自分のスキルでクリアが難しい案件を受けてしまったら大変かも……」と慎重になり、せっかくのスキルがもったいない案件を受けてしまうことがあります。その場合はエージェントを利用すれば、初めての受注に最適な案件の見極めを手伝ってもらうことができます。
弊社サービス「プロエンジニア」では、フリーランスの方の独立支援のご相談も承ります。これまで支援した方の中には正社員時代のご相談から並走し、安心して独立していただいた実績もございます。
▶ 独立支援も無料で承っています。ぜひお気軽にご相談ください。
【Q】一人で仕事をしていると孤独を感じたり、挫折しそうで不安です
【A】一人で作業するのが不安な方には、常駐型案件がおすすめです。会話でコミュニケーションを取りながら作業が進められる上に、困ったときには周囲のフォローアップを受けることもできます。
完全常駐でなく、週に2日出勤で3日リモートといった、柔軟な働き方が選べるのもフリーランスのメリットです。不安な場合は常駐型案件で様子見しつつ、徐々にリモートを増やす方法がおすすめです。
【Q】フリーランスをやめたくなった場合、正社員に戻ることはできますか?
【A】フリーランスからの再就職は、通常の転職とほとんど変わりません。年齢に対してしっかりとした職務経歴があることが重要なので、職務経歴書は日頃から細かくアップデートしておくことがおすすめです。フリーランスとしても職務経歴書(スキルシート)の充実が、単価アップにつながります。
フリーランスとして仕事をしたクライアントからスカウトを受けて、そのまま正社員になる方も数多くいらっしゃいます。逆に、ここでもっと長く働きたいと思ったクライアントがあれば、中途採用を募集していないか担当者に打診してみることもおすすめです。
7. まとめ
フリーランスとして独立すると、自分の責任の範囲が大きく広がります。そのため不安も多いですが、長く続けていくためにはしっかりとした事前準備が大切です。
本記事が、安心して独立するための一助になれば幸いです。
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