フリーランスエンジニアとしてのスキルを証明することができるIT系資格を23選ご紹介します。IT業界は資格よりも実績・経験が重視されると言われていますが、資格取得までの学習プロセスや知識の構築が無駄になることはありません。ここでは、各IT系資格の説明や、取得することのメリットについて解説します。
1. IT系の資格を取る前に知っておきたいこと
一般的に資格取得には、コストがかかるうえ、持っていても本当に役立つのかという疑問を持つ人は少なくありません。
IT系にも多種多様な資格がありますが、実際にIT系の資格は、転職やキャリアアップなどに、役立つのでしょうか?
資格取得を目指す前に、IT系の資格取得について知っておきたいポイントを説明します。
1.1 IT業界では資格よりも実績・経験が重視されがち
IT業界での転職では、資格よりも実績や経験が重視されるため、資格取得が転職に大いに役立つとはいえません。
とにかく資格さえとっておけば転職も安心という、安易な感覚は避けるべきでしょう。しかしIT系の資格取得が無意味ということはありません。資格を取得することで、ご自身のスキルや知識を証明することができるメリットもあります。
1.2 対外的なスキルの証明や評価につながる
資格があることで、その人のスキルを客観的に証明できます。例えば、年齢が若く実務経験が少ない場合や、資格取得した分野の実務が未経験の場合でも、持ち合わせるスキルの目安として一定の評価が得られます。
また転職に限らず、積極的な資格取得により、スキルアップに対する意識の高さを示せるため、社内での評価にもつながるでしょう。
1.3 資格取得はスキルを身につけるために有効な方法
資格取得のための学習によって、スキルが身につくという側面もあります。資格取得の勉強をする過程で、参考書を呼んだり、調べ物をしたり、過去問を解いたりすることで知識やスキルが身についていきます。
ひとつの資格取得を通して、キャリアアップを目指し新しい技術の習得にチャレンジしたり、理解を深めることができます。スキルを身につけるための非常に有効な方法です。
2. 総合的なIT知識を証明できる資格一覧
資格名 | おすすめする人 | 証明できるスキル |
---|---|---|
ITパスポート | IT業界未経験者 | IT全般の一般的な基礎知識 |
基本情報技術者 | IT業界未経験者・初心者 | IT全般の基礎知識 |
応用情報技術者 | プログラマ・システムエンジニア | IT全般の応用知識 |
◆ ITパスポート
ITパスポートは、「ITを利活用するすべて人が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家資格」です。まずはITの基礎を知るということで取得するのをおすすめします。
◆ 基本情報技術者
情報処理推進機構(IPA)が運営する国家試験で、IT業界に転職したい、ITに関する基本的な知識を身につけたい人向けの資格です。
◆ 応用情報技術者
基本情報技術者試験よりもレベルの高い資格で、ITに関する知識がある程度身についていることが証明できるので、就職や転職にも役立ちます。
3. 専門的なスキル(エンジニア系)を証明できる資格
資格名 | おすすめする人 | 証明できるスキル |
---|---|---|
データベーススペシャリスト | データベースエンジニア・ITスペシャリスト | データベース技術 |
ネットワークスペシャリスト | ネットワークエンジニア・ITスペシャリスト | ネットワーク技術 |
システムアーキテクト | ITスペシャリスト | システムアーキテクトの専門スキル |
情報処理安全確保支援士 | ITスペシャリスト | 情報セキュリティ技術 |
情報セキュリティマネジメント | セキュリティリーダー | 情報セキュリティ管理 |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | 組み込みエンジニア・IoT技術者 | 組み込みシステム構築の専門スキル |
ITILファンデーション | SEやインフラエンジニア | システム運用管理 |
G検定・E検定 | データサイエンティスト | ディープラーニング |
統計検定 | データサイエンティスト | 統計に関する知識 |
IoTシステム技術検定 | IoTシステム開発者 | IoT関連スキル |
Android技術者認定 | Android開発者・モバイルアプリ開発者 | Android関連知識 |
◆ データベーススペシャリスト
データベースエンジニアの知識・スキルの習熟度を測るための国家資格で、データベースに関係する技術を活用し、情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守などの知識が求められます。
◆ ネットワークスペシャリスト
ネットワークの固有技術からサービス動向まで幅広く精通し、目的に適合した大規模かつ堅牢なネットワークシステムを構築し運用できるような知識を求められます。
◆ システムアーキテクト
システム開発の上流工程で、豊富な業務知識に基づいて的確な分析を行い、業務ニーズに適した情報システムのグランドデザインを設計し完成に導く、上級エンジニア向けの資格です。
公式サイト:システムアーキテクト試験
◆ 情報処理安全確保支援士
サイバーセキュリティ対策の調査、分析、評価を行うセキュリティエンジニアのための資格です。また技術・管理の両面から有効な対策を助言・提案するセキュリティコンサルタントにも。
◆ 情報セキュリティマネジメント
情報セキュリティマネジメントの計画・運用・評価・改善を通して組織の情報セキュリティ確保に貢献し、脅威から継続的に組織を守るための基本的なスキルを認定する試験です。
◆ エンベデッドシステムスペシャリスト試験
ハードウェアとソフトウェアを適切に組み合わせてシステムを構築し、求められる機能・性能・品質・セキュリティなどを実現する組み込みエンジニアやIoT系エンジニア向けの試験です。
公式サイト:エンベデッドシステムスペシャリスト試験
◆ ITILファンデーション
ITILファンデーションとは、ITサービスマネジメントについての知識を証明する国際的な認定資格です。運用管理に関わる基礎知識として、ITエンジニア、とりわけSEやインフラエンジニアの間でよく聞かれる資格です。
◆ G検定・E検定
ディープラーニングに関する知識を有し、事業活用する人材(ジェネラリスト)と、ディープラーニングを実装する人材(エンジニア)の育成を目指した検定試験です。
公式サイト:G検定・E資格
◆ 統計検定
統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。データに基づいて客観的に判断し、科学的に問題を解決する能力は、仕事や研究をするための21世紀型スキルとして国際社会で広く認められています。
公式サイト:一般財団法人 統計質保証推進協会「統計検定」
◆ IoTシステム技術検定
IoTシステムの企画、構築、活用、運用改善をより効果的、効率的に行うための基本知識の習得を狙いとしています。基礎、中級、上級の3段階レベルで認定します。
◆ Android技術者認定
アプリ開発のエンジニアには「アプリケーション技術者認定試験」、プラットフォーム周りのエンジニアには「プラットフォーム技術者認定試験」と2種類の認定があります。
4. 専門的なスキル(プログラミング言語・技術)を証明できる資格
資格名 | おすすめする人 | 証明できるスキル |
---|---|---|
LinuC | ネットワークエンジニア | Linux |
Python3エンジニア認定試験 | Pythonを扱うエンジニア | Python |
Oracle認定Javaプログラマ | Javaを扱うエンジニア | Java |
C言語プログラミング能力認定 | C言語を扱うエンジニア | C言語 |
PHP技術者認定 | PHPを扱うエンジニア | PHP |
Ruby技術者認定 | Rubyを扱うエンジニア | Ruby |
MCP (マイクロソフト認定資格) | システム管理者 | Microsoft製品の知識や実践的スキル |
オラクルマスター | データベースエンジニア | Oracleの専門知識 |
CCNA (シスコ技術者認定) | ネットワークエンジニア | ネットワーク・シスコシステムズ製品の知識 |
◆ LinuC
2018年に提供が開始されたLinux技術者認定試験です。クラウド時代に求められるLinuxスキルの保持を証明することができる試験として、Linuxの認定試験を実施しているNPO法人、LPI-Japanが開発しました。
◆ Python3エンジニア認定試験
主に文法基礎を問う「Python3エンジニア認定基礎試験」、主にPythonを使ったデータ分析の基礎や方法を問う「Python3エンジニア認定データ分析試験」があります。
◆ Oracle認定Javaプログラマ
米Oracle社が主催するJavaの知識と技能をレベル別に認定するベンダー試験で、グレードは、簡単な方から「Bronze」「Silver」「Gold」の3種類があります。
◆ C言語プログラミング能力認定
保有スキルのレベルに合わせた3段階の認定基準があり、初学者向けの「3級」から、プログラマやシステム・エンジニアとして活躍されている方の保有スキルを客観的にアピールできる「1級」まで、幅広いスキルを測定しています。
公式サイト:C言語プログラミング能力認定試験
◆ PHP技術者認定
PHPの現時点で唯一の資格である「PHP技術者認定試験」は。PHP技術者の育成と納品品質の向上を図ることを目的に立ち上げられた試験で、「初級試験」と「上級試験」があります。
◆ Ruby技術者認定
エンジニアはもちろん、Rubyに関わる幅広い人々を対象とした、Ruby技術者としてのスキルを認定する試験で、「Silver」と「Gold」の2つのレベルの試験が実施されています。
◆ MCP(マイクロソフト認定資格)
Microsoft製品について、必要な知識と技術を取得していると証明できる資格です。「アソシエイトレベル」と「エキスパートレベル」の2段階に分かれています。
◆ オラクルマスター
「日本オラクル社」が公式に運営する「Oracle Database」シリーズを扱う技術力を認定する資格で、データベースの管理/運用のほか、SQLの習熟度を問う問題が出題されます。
◆ CCNA(シスコ技術者認定)
シスコシステムズ社が実施する、ネットワークエンジニアの技能を認定する試験です
世界共通基準の資格であり、ネットワークの世界では最も有名な資格でもあります。
5. コンサルタント・マネジメントスキルを証明できる資格
ITコンサルタントやプロジェクトマネージャー、ITスペシャリストなどにおすすめの資格を紹介します。
◆ ITコーディネーター
経営とITの両面に精通し、経営者の立場に立って「IT経営」をサポートします。ITコーディネーターの資格には、「ITC試験」の合格と「ケース研修」を受講が必要になります。
公式サイト:ITコーディネーター協会
◆ プロジェクトマネージャ試験
システム開発プロジェクトのマネジメントスキルを認定する試験で、プロジェクトのスムーズな進行や、人員のマネジメントについて主に問われます。数ある国家資格の中でも難関資格であるといわれています。
◆ ITストラテジスト
企業のトップマネジメントとともに事業戦略や事業計画の段階から参画するエンジニア系上級職のひとつです。ビジネスを成功に導くCIOやCTO、ITコンサルタントを目指す方向けです。
公式サイト:ITストラテジスト試験
◆ 中小企業診断士
中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家で、法律上の国家資格です。「経済学・経済政策」などの7科目の1次試験、4科目の2次試験に加え実務補習もあります。
公式サイト:中小企業診断士
◆ PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)
プロジェクトマネジメントに関する国際資格で、プロジェクトマネジメントに関する経験、教育、知識を測り、プロフェッショナルとしての確認を目的として実施されています。
公式サイト:PMP
6. エンジニアが取得したい人気急上昇中のクラウド資格
企業におけるインフラ環境のクラウド移行が増加し、それに伴いクラウド周りの知識が求められるようになっています。特にパブリッククラウドの中でも普及度No.1であるAWS(AmazonWebServices)認定資格に注目が集まっています。
「日経 xTECH」による「IT資格実態調査」では、AWS関連の認定資格が人気No.1(回答者455人中179人が取得希望)となっていることからも人気の高さがうかがえます。
参照元:人気上昇中のIT資格、見逃せない2つのトレンド|日経 xTECH
◆ AWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト
AWS認定の中では中級レベルの資格であり、主に、AWSのサービスを利用して効率よくクラウド環境を構築または提案できることを証明できるとされています。
◆ AWS認定クラウドプラクティショナー
AWS認定の中では入門レベルの資格であり、クラウドの概念を含め、AWSの主要サービスに関するテクノロジー、セキュリティなど、AWSに関する基礎的知識のスキルを証明できます。
7. まとめ
ここまでご紹介したように、IT系の資格にはとてもたくさんの種類があります。総合的なITの知識を証明できる資格から、専門的なスキルを証明できる資格、コンサルタントやマネジメントに関する資格など多種多様なものがあります。
しかし冒頭にも記載したように、IT業界では資格よりも経験や実績が重要視されます。資格取得を目的とするよりも、取得を目指した学習によって自らのスキルアップを図ることに重点を置くことをおすすめします。